大衆酒場ベスト1000

2016年05月25日

第133回「帆利川(柴崎)/厚揚げ」

記事の前に告知をひとつ失礼します

僕のライフワークともいえるこの連載「大衆酒場ベスト1000」なのですが、またまたしばらくご無沙汰してしまいましてすみません。

その間に何があったかというと、まぁいろいろあったんですが、ご興味ある方はこのへん見ていただくとして、最も大きい出来事としては、僕が監修を務める雑誌「酒場人」の第2弾が無事発売となりました!




巻頭は「大衆酒場ベスト1000」でも繰り返しご紹介してきた、「たぬきや」をはじめとする「天国酒場」特集!
インタビューにみうらじゅんさん、かせきさいだぁさん、寺田克也さん、FPMさん、夢眠ねむさん、忘れらんねえよの柴田さん!
新連載にかせきさいだぁさん、ミドリカワ書房さん、谷口菜津子さん、スケラッコさん!
他にも、とにかく絶対におもしろいと思う酒場情報だけを好き放題詰め込んだ、超ディープな1冊になっておりますので、みなさま、どうぞよろしくお願いします。m(_ _)m

また、この本の発売を記念して東京&大阪でイベント開催も決定!
こちらも、間違いなくヤバいことになりそうな豪華ゲストのみなさまが参加してくださいますので、是非是非チェックお願いしますっ!





では、以下本題です。




名前すら初めて聞く駅で出会った、ハートウォーミングな立ち飲み屋さん

ゴールデンウィークのとある1日、ぽっかりと予定の空いた日があったので、以前から妻が行ってみたかったという「手紙舎」というお店に、夫婦で行ってみることにしました。
調布の方にあって、雑貨や本屋、それからカフェなんかも合わさったようなおしゃれショップのようで、駅でいうと京王線の「柴崎」が最寄りだそう。

調布方面といえば、それこそ「たぬきや」に行くくらいしかあまり馴染みがなく、柴崎なんて駅も初耳。「え? 誰だっけそいつ?」って感じですよ。
となると俄然ワクワクしてくるのが僕の性格でもあります。
「よし、今回もあえて下調べはせずに、初めての街に全てをゆだねてみよう!」と決め、バスやら電車やらを乗りついで「柴崎」へとやってきました。




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わはは! 何もなさそーな街だ!



いいっすね〜。
人ごみ、喧騒、排気ガスといった要素からかけ離れた、のんびりとした駅前。
とても落ち着く、僕の大好きな雰囲気です。

家を出たのが昼過ぎで、途中吉祥寺なんかにも寄り道しながら来たんですが、時間はまだ14時くらい。
全然昼間だけど、飲めるお店が見つかるといいなぁ……。

とはいえ、まずは最大の目的である手紙舎さんへ行ってみましょう〜!

駅から歩くこと5分ほど、




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ここ



がお店の入っている建物らしいですよ。
1階の半分が本屋さん兼カフェ、2階の全部が雑貨屋さん兼カフェ。
なかなか立派な構えですね〜。

……って、ちょ、ちょっと待って!
1階の左半分、立ち飲み屋じゃ〜ん!!!

手紙舎さんのおしゃれゾーンに食い込むような巨大看板。
帆利川」……「ほりかわ」さんと読むんでしょうか。
手紙舎目当てのおしゃれ女子たちが次々と出入りする建物の中に、堂々と存在しています!

これはもはや運命! 今日ここに入らないわけにはいかない! が、どうやらオープンは16時のようです。
まずは気を落ち着かせ、手紙舎を見に行ってみましょう。

うんうん、1階の本のセレクトも独自性があって見飽きないし、2階にもこだわりの雑貨がずらり。
特に作家さんものの食器やミニコミなど、僕も大好物なグッズがたくさんあって、とっても素晴らしいお店ですね!
思わず小一時間、ぐるぐる見て回ったり、買い物をしたりしてしまいました。

「は〜いいお店だった。来て良かった!」なんつって外へ出ましたが、まだ16時までは小一時間あります。
ちょっと駅前まで戻って散策し、こちら、リアル'80s感がたまらない喫茶店、




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「さくらんぼ」



で、アイスコーヒー休憩を挟ませてもらうことに。

ここがまた、ゆる〜い時間が流れるめちゃくちゃ雰囲気の良いお店で、しかも夜は有名なジャズバーとしての側面もあるらしく(というかそっちがメインらしい)、ひとときの空き時間がくれた偶然の出会いに感謝です。


さて、いよいよ時間が16時5分前。
再び帆利川に向かって歩き出しましょう。
いや〜ワクワクするな〜。

「ごめんくださ〜い!」


店内に入ると、壁とのスペースに余裕のある立ち飲みカウンター。
その奥に現在は使われていないお座敷。
どうやら、以前は一般的な居酒屋だったのを居抜きで、立ち飲み屋として再利用されているお店のようです。

開店時間ぴったりだったので我々夫婦が一番乗り。
カウンターの中には小柄で優しそうな女将さんがひとり。

「いらっしゃい。これから料理作るからちょっと待っててね。お飲み物は何にします?」

なんて感じで、勝手のわからない我々を気づかってくれます。

まずは生ビール(¥300)を注文して一息に飲み干し、おかわりをもらうついでに少しずつカウンター上に並び始めた小皿のおつまみをいただくことにしましょう。




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ウーロンハイとネギぬた



を。
お会計はキャッシュオン方式なんですが、お釣りの金額を確認してみて驚愕しましたよ!
なんと、ウーロンハイ150円ネギぬた100円

ジョッキはちょっと小ぶりですが、そのサイズ感と価格のバランスが可愛らしくて、むしろ好ましい。
ネギぬたの量、味付けのちょうど良さも言うことありません!

オープンな入り口からは相変わらず、




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手紙舎目当てのおしゃれ女子たち



がひっきりなしに行き来する様子が見え、一方こちらは明るいうちからの立ち飲み。
堕落の極みですな。

で、そうこうしていると、あっという間にこっちの店内も満席に。




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客層は全然違うけど



頭にハチマキを巻いた絵に描いたような漁師さん(調布になぜ?)や、頼りになる地元の兄貴的キャラのお兄さん、明るい酔っ払いのおじさんなど、みんな和気あいあいと楽しそうに飲まれており、一見の僕ら夫婦にもフレンドリーに接してくださいます。
やっぱり、女将さんの良い人柄がお店を作ってるんでしょうね。

特に僕の右隣のおじさんは愉快で、「昔は田んぼに行ってタニシをさ〜、両手いっぱいに捕ってきて」とか「イナゴも袋いっぱいに捕れたんだよ」とか、なぜか野生生物を捕まえてきて食った話を懐かしげに話してくれては、「ごめんな〜、若い人にとんでもない話しちゃったな」と謝ってくるという一連の流れができあがり、それがめちゃくちゃツボにハマりました。




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マグロ刺(350円)



トロッと美味しいマグロです。
奥は常連さんに人気だった緑茶ハイ
もちろん150円




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厚揚げ(100円)お酒(150円)



最後に、女将さんがすご〜く時間をかけてじっくりと焼き上げられていた厚揚げと、これまたびっくり、一合150円也の日本酒(冷)を頂いて締め。

ふ〜、ごちそうさまでした!


「どんな街にだって良い酒場はある」そんな真理を鮮やかに証明してみせるかのような名店「帆利川」さん。
頻繁に来れる街ではないけど、また必ず寄らせてもらいたいと思います!

ではまた次回。




帆利川
住所:東京都調布市菊野台1-17-5
電話:042-487-1044
アクセス:京王線 柴崎駅




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posted by パリッコ at 09:52 | Comment(0) | 第126回〜第150回
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