ひっそりとした飲み屋小路の2階に、馬場の隠れ家を発見!
先日、おなじみ大先輩ライターの安田理央さんを含む数人でのちょっとした打ち合わせがあり、解散後、光栄なことに安田さんと2人で「軽く飲んで帰りましょ」ということになりました。
場所は高田馬場。
安田さんの事務所は高田馬場にあるので、おすすめの店は数知れずなんですが、こういった機会もあまりなく、「よし、今日は2人ともまだ入ったことのないお店に行ってみよう!」ということになって、しばし繁華街をうろうろ。
決め手に欠けるまま「そういえばあっちの方にも飲屋街あるよなぁ」とたどり着いたのが、駅近くのとある路地。
駅の早稲田口を出てすぐ左を向いたところにある「幸寿司」とマックが入ってるビルの間を入っていったところ、というと馬場になじみのある方には伝わるでしょうか?
ここがまた、昼間通れば見過ごしてしまいそうな小さな店がつつましやかに立ち並ぶ味のある通りなんですが、歩いていると一軒のお店が目に止まりました。
小さな建物の2階にあるらしく、メニューなど店内の様子を推し量れる材料は何ひとつ外には出ておりません。
入り口を見上げれば、

ハシゴのように急な階段
があるばかり。
が、この日はなぜか2人とも「ここにしましょうか? 理由はないけど!」「うん、なんだか今日はここだね!」なんてモードになり、それまで決めかねていたのが嘘のように、吸い込まれるようにこの「まぁちゃん」さんへおじゃますることに。
靴よりも幅の狭い階段を慎重に上がり、扉を開けるとそこは、

こじんまりと落ち着いた小料理屋風の店内
カウンターのみで、約8席くらいでしょうか。
一見コワモテな大将が、ものすごくにこやかに、かつ丁寧に迎え入れてくれました。
まずはと壁に目をやると、雰囲気のある美女画の横に、

飲み物メニュー
ほっ、ものすご〜く良心的だ。
僕はハイサワー、安田さんはウーロン割を注文。

ハイサワー(300円)、お通し(?円)
お通しはタコとワカメの酢の物。
タコは酢の物にする前にダシなどで煮てあるのか、みしっと旨味が凝縮されているような感じ。
お酢のキツさを感じさせない優しい味わいで、はい、とってもうまいっす!

店内は貸切状態
この時期ならではの特権で、開け放たれた窓から暑くも寒くもない、ただただ心地良い風が店内を通り抜け、耳にはテレビの音とうるさすぎない外の雑踏。
これ以上ないベストシチュエーションですね。

棚にセットされている「スーパーニッカ」
さて、一番高くても500円の料理メニューは、「玉子焼き」や「マグロブツ」といったオーソドックスもの、「魚肉ソーセージ炒め」や「ウィンナ炒め」などのB級もの、「焼ウドン」や「ソーメン」といったご飯ものまで幅広いんですが、総じて気取らず、本当に酒のつまみに適しているものを取り揃えているといった印象。
我々が選んだのはまず2品。

冷奴(200円)
ネギと鰹節がどっさりでボリュームもたっぷり。
さらに、

別皿でショウガ
「CHILDREN IN PARIS」という文字の下に可愛らしいタッチの男の子と女の子のイラストが描かれ、その上に無造作にショウガが。
なんだか妙におかしみのある絵ですね。
ここに醤油を注ぎ、適度な大きさにカットされた豆腐をまるで刺身のように食べるわけですが、なんかこの味の微調整の幅の広いスタイルに大将のホスピタリティ、ひいては真摯な人柄が感じられるようで、もう完全にお店のとりこになってしまいました。
そして次、どうしてもその字面のインパクトから頼まざるをえなかったのが、

USAビフテキ(500円)
一見この落ち着いた店内にそぐわないような「USA」の響き。
果たしてやってきたのは、インパクト抜群の豪快な一皿。
肉はメイドインUSAらしい、しっかりと噛み応えのある(硬いというわけではないです)赤身。
これを醤油ベースと思われる和風の甘辛味で仕上げてあるんですが、たっぷりと効かせたニンニクがたまらない!
ドサッと盛られたレタスのわきの惜しみなきマヨネーズも頼もしく、格安価格も手伝って、満足度200%の一皿でした。
あ、そうそう、ここのサワー類の氷なんですが、注文ごとに冷凍庫からブロック状のものを取り出し、アイスピックで砕いてグラスに入れてくれるというスタイル。
なので、

飲み終わってもほとんど溶けてない
んですよね。
気泡ひとつない純度の高い美しさにも見とれてしまいます。
それはもう、「このまま捨てちゃうのかな?」と思うともったいないく感じてしまうほど。
いや〜本当、お仕事のひとつひとつがきめ細かいなぁ!
さて、今夜は最後にもう1品くらいつまみを取ろうということになり、選んだのは「肉ドーフ」。
「いやお前ら、肉と豆腐ならもう食ったろ!」と突っ込みたくなるお気持ちは重々承知してます!
が、極度の肉豆腐好きな僕が、このお店の肉豆腐をどうしても気になってしまったんです。
だってここの肉豆腐、さっきのビフテキと並んで、お店の最高級価格500円なんだもん!
どんなもんが出てくるか気になるじゃん!
安田さんにわがままを言い、僕の独断で行った行為ですので、お怒りは全て僕に向けてくださいね。
ところが大将に「肉豆腐お願いします」とお伝えすると、「すいません、豆腐がもう終わっちゃったんですよ。厚揚げでいいなら同じ味付けで作れるんだけど……」とのこと。
そうなんですか……それはざんね……ん!? 厚揚げで肉豆腐!?
そ、その変化球、最高じゃないですか!
むしろ願ったり叶ったりです! ぜひお願いします!
で、

肉ドーフ(厚揚げVer.)(500円)
もはや「鍋」。
長時間グツグツと煮込み続けるタイプではなく、肉も厚揚げもタマネギもカイワレもフレッシュな素材感を残しており、それが優しい味わによってひとつにまとめあげられています。
一口ごとに、心身ともに温まっていくのを感じる〜……。
締めの一杯に

スーパーニッカ(500円)
をストレート+チェイサーで。
好きなんですよね、スーパーニッカ。
いやぁ、良い夜だった。
ごちそうさまでした。
やはり驚くほど良心的だったお会計を済ませ、ついでに「お店はどのくらいやられてるんですか?」と伺うと、創業からもう33年になるそう。
これまで何度も高田馬場で飲んでいながら、存在すら意識できていなかったお店との、嬉しい出会いとなりました。
本当、まだまだ名店っていくらでもあるんすね〜。
帰り際、「どうもありがとうございました! 階段が急なんで気をつけてくださいね」と、我々が階段を降りきるまでしっかりと見送ってくれる大将の笑顔に、そっと再訪を誓いましたとさ。
おわり
まあちゃん
住所:東京都新宿区高田馬場2-19-5
電話:03-3205-2704
アクセス:JR山手線、西武新宿線、東京メトロ東西線 高田馬場駅
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