大衆酒場ベスト1000

2017年01月31日

第139回「石松(野毛)/血合い唐あげ」

「野毛ちかみち」から直結のレトロビルで見つけた、立ち飲みの名店!

えー、数ヶ月ぶりのご無沙汰となってしまってすみません、当連載。

完全に言い訳になりますが、実はこの度、僕が「監修」というたいそうな役をつとめている酒カルチャー雑誌「酒場人」の第3号が発売となりまして、







この本を作るのに、昨年末からつい最近まで、それはもうかかりっきりになってしまってまして、なかなか他に時間を割くことができず、しばらくお休みをいただいてしまってました。

その間に行ったあんな酒場、こんな酒場の情報は、本の中に何十軒分もレポートしてますので、もしよろしければチェックしてみてください! m(_ _)m


さて本題。

実は先日、生まれて初めて地上波の TV ってやつに出させてもらいまして、







俳優の風間俊介さんに、横浜で人気の飲みスポット、「野毛」の素敵なお店を3軒ご紹介するという、これまた身に余る大役。
放送までドキドキがすごかったんですが、風間さんやスタッフさんの優しさ、そして有能なテレビマンのみなさまの編集能力により、なんとか僕も、「それなりにそういう方面に詳しい人物なんだ」というような雰囲気に仕上げてもらっており、ホッと一安心した次第です。

そもそもこのお話、雑誌「酒場人」の第1号に「横浜・野毛」の特集があり、それを読んでくださったスタッフさんからご連絡いただきました。
なので、TV で紹介したお店は全部、雑誌でもお世話になったお店。

そこで収録の数日前、僕自身しばらく野毛自体にも行ってなかったこともあり、別に誰に頼まれたわけでもないんですが、一度は飲みがてらご挨拶しておいた方がいいだろうと思って、ひとり野毛に向かいました。

今回ご紹介するのは、そんな経緯でひとり野毛をひとりふらついていて、初めて入ってみたお店。
野毛ってそれこそ無限に良い酒場があるような街なんですが、「こんなところにも!?」って感じの、すっごくいいお店に出会えたんですよね〜。


ちなみに、野毛のランドマークといえばこちらの、




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都橋商店街



になるでしょうか。

昭和39年、東京オリンピック開催にあたり、周囲の露店や屋台をぜ〜んぶ収容しちゃって街の景観を整えようということで作られた建物だそう。
そういう経緯で作られたものが、いまや超ディープな昭和遺産となっているのもおもしろいですよね。
かの有名な「ホッピー仙人」は、この2階にあります。




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裏側から見た図



真下に川が流れているというシチュエーションがまた良い。

このあたりを中心地として、住所でいう「野毛町」全体が飲み屋だらけのパラダイスになっており、全国に名を轟かすような名酒場もたくさんあることが、野毛飲みの人気の秘密。


ところが!
今回ご紹介するお店はぜ〜んぜんそんな中心街じゃありません。

この一帯への最寄駅は、京急本線の「日の出町」駅、および JR 根岸線の「桜木町」駅ということになるんですが、桜木町の駅から野毛方面へ向かうのに、「野毛ちかみち」っていう地下道があるんですね。
で、その地下道の途中に、直結で行ける、「ぴおシティ」という商業施設がありまして、ここがまた良い雰囲気なんです。




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ここがぴおシティ



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ビルの中なのにこの景色



ぴおシティが完成したのは昭和56年だそうで、ここもまた良い感じにレトロな味わいがにじみ出まくってます。
飲食店やゲームセンターなどの娯楽施設の他、




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こんな感じで、日用品を売っているお店なんかも並んでいて、散歩するだけで楽しすぎる。
新橋や大阪の「駅前ビル」、中野ブロードウェイなどと共通する、ちょっとカオスな空気感がたまりません。




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外観



ちなみに、外観も見てみようと外に出たところ、




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絶対に駐輪させたくない行政と何が何でも停めたい市民の対立



を見ることができました。


と、そんなぴおシティなんですが、僕はここへ入ったのは今回が初めてで、ふらふらと地下2階を散歩していたところ、こんなお店を発見。




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石松」さん



立ち飲み屋ですね。
すごいな野毛! まだ駅から街の方へ向かっている途中なのに、もうこんな渋い酒場があるっていう。

時間が早いせいか先客はいませんが、見たところ営業中のよう。
よ〜し、これは一杯飲んでいこう!




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酎ハイ(350円)



うん、最高最高。




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良い



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黒板



これでも一部ですが、ものすご〜くそそられるメニューだらけ!
とりあえずで大好物の、




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カンパチ刺(450円)



を頂くと、新鮮で、大きさ厚さも絶妙で、ま〜うまいこと!
この一品だけで、ここがものすご〜くクオリティの高いおつまみを出すお店だということがわかります。
あ、写真を見返していて気づきましたが、早くもホッピー(350円)をおかわりしてますね。


これから夕方に向けて店員さんも増えていくんでしょうが、現在は「寒いですね〜」と言いながら湯沸かしポットに手をあてているお姉さんひとりに、お客は僕ひとり。
僕が「料理の写真を撮ってもいいですか?」と伺うと、「いいですよ。ブログかなんかやってるんですか?」的な感じから始まり、しばし話し相手になってくれました。
お店のことやこの街のことなんかをいろいろと聞け、とても良い時間。

さらに、あまりにヒマだったのか「こっちからも写真撮りましょうか?」と、生まれて初めての提案をしていただいて、




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珍しい構図の写真



を撮ってもらったり。

聞けば、やはりこちら、夕方にもなれば大混雑のお店だそうで、今のまったりとした雰囲気こそが逆に貴重な時間のようです。
それが証拠に、一杯一杯お酒を作っている余裕もない時の対策として、




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あらかじめ焼酎がセットされたサワーグラス



がずらり。
「臨戦態勢!」って感じでかっこいい!
それにしても、氷が入ってなくてこの焼酎の量、かなり濃いめですよね。


次回はそんな活気のある時間にも来てみたいと思いつつ、今日はこれから、何軒か野毛のお店を回る予定。
もう一品くらい頂いたら締めようかな〜と、お願いしたのが、




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血合い唐あげ(350円)



よくスーパーの鮮魚売り場の端っこに売ってる、マグロのアラ、血合い部分も混じったやつ。
僕、あれが大好きで、うまいのに激安なんでよく買うんですが、こうやってお店で出されているのは初めて見たかもしれません。
つまり、プロが調理したマグロの血合いを食べるのは初めて。
これがも〜! 竜田揚げ風にサクッと揚がった衣と、ジューシーで迫力のあるマグロの旨味で、めっっっちゃくちゃ絶品!
これ以上いると、今日は最後までここで飲んでしまって終わりになる可能性が出てきたので、すみやかに食べ、飲み、心を鬼にしてお会計としました。


名店だらけの中心街も素晴らしいですが、ぴおシティ飲みもまた最高!
野毛って、本当に奥深い街だな〜。

おわり




石松 (いしまつ)
住所:神奈川県横浜市中区桜木町1-1ぴおシティB2F
電話:045-201-1320
アクセス:JR京浜東北線、横浜市営地下鉄ブルーライン 桜木町駅




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posted by パリッコ at 10:00 | Comment(0) | 第126回〜第150回
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