初進出!神戸のディープな酒場めぐり【後編】 天国酒場 in 神戸
しばらく間が空いてしまったのですが、前回に続き、神戸編の後編です。
今回の関西遠征、人生で初めて神戸の街を訪れるにあたり、ワクワクしすぎて、おなじみ Google ストリートビューで、事前の散策を飽きずに繰り返していたんですが、それで見つけたのが「布引の滝」。
この滝については、「デイリーポータルZ」というサイトに「JR新神戸駅から徒歩5分の滝を見に行った」というレポートを書いたので、もしよかったら読んでやってください。
今回は、上の記事の最後でふれている「天国酒場」の詳細を惜しげもなくご紹介してしまおうと思います!

てなわけで新神戸

徒歩5分と10分の場所に滝がある駅
実は事前のリサーチで、この滝のすぐ先に、滝を眺めながら一杯やれるらしいお店があることを発見しちゃってたんです。
今回、かなり時間の限られた関西滞在だったのですが、そんな情報を見つけてしまったら行かないわけにはいかない!
朝の 8時半くらいからオープンするという噂の「天国酒場」に行くため、朝っぱらから関西の友人数人と待ち合わせてやって来ました。
駅を出て滝方面に向かうとすぐに、

こんな感じで
新神戸を起点としてめぐることのできるハイキングルートマップがあります。
これをよく見てみると、

うわ! 大好物の茶屋が点在!
時間があれば全部回りたい〜!

なるほど、「カワウソ池」へ行くには「マムシ谷」を通らなきゃいけないのか……

外人墓地と管理事務所で板挟みして、谷から仙人を追い出そうとしている!
仙人かわいそう〜……と、この地図だけでも見どころ満載なわけですが、今日は午後の新幹線で東京へ帰らなくちゃいけないので、先を急ぎまして、

まずは徒歩 5分の「雌滝(めんたき)」へ
本当に気軽に来られる、なかなか立派な滝。
僕たちが着いた時、ちょうど外人さんが座禅を組み始めるところで、あまりにできすぎた絵面にちょっと笑いました。

そこからは急な山道となり
「駅から徒歩 10分」のはずが、急にハードになった道にヒィヒィ言いながら、15〜20分も歩いたでしょうか。

「雄滝(おんたき)」に到着!
苦労した分、雌滝よりもさらに本格的で立派な滝ですね〜。

ビールケースから眺めてみたり
もはやここで缶ビールの 1本でも飲めればそれで大満足といった最高の環境なのですが、この先にさらなる天国が待っているのです。

雄滝からちょっと上に目をやると見えるあの建物に向かって
階段を上ってゆくと……

うおー、あったー!!!

「おんたき茶屋」
どうです? 笑っちゃうくらいパーフェクトな佇まいの、まさに「天国酒場」!
ちなみに僕は勝手に、天国酒場の定義の中のひとつに「派手な観光地ではないこと」を掲げています。
ここ、おんたき茶屋さんは、「滝が見える」というド派手なポイントこそあるものの、駅から徒歩 10数分で来れてしまうライトさ、あと、この滝自体がそんなにメジャーな存在ではなさそうなことから、おそれながらも天国酒場と認定させていただいていいですよね!?

テラス席の眼下には滝
マイナスイオンがえぐいことになってます。

そしてもう、どこを見ても

味!

味!

味!
店の外で火にかけられた大きなおでん鍋からは、なんともいえない良い香りが漂っており、これをかいだだけでも「あぁ、来て良かった……」としみじみ思えます。
よし、おでんはあとで絶対食べよう。
この日はまだ寒い時期だったこともあり、女将さんに「どうぞ内へ」と案内していただきました。

その店内の最高なこと!

石油ストーブの香りに涙がにじむ
身体全体がノスタルジックで温かい空気に包みこまれるような至福感。
どんなにお金をかけても作り上げることはできない、歴史の積み重ね、そしてお店とお客さんが作り上げた、奇跡の空間といえましょう。
今日、僕たちは 5人でやってきたので、

特等席のボックスシート
に座らせてもらうことができました。

しつこいようですが、眼下には滝
ちょっと窓を開けると、冷たい空気と心地良い滝の音。
ここに座っちゃったら、相当な覚悟をしないと再び腰を上げることができないっす!

店内も見どころしかなし
ではいよいよこの、いるだけでも最高な空間で、飲んだり食べたりしていきましょう!

シンプルながらもこだわりを感じるメニュー
メニューの隅には「大正 4年創業」とありますね。
ありがたや〜。
価格も全体的にお手頃。
こんな素晴らしいシチュエーション、あと 300円くらいずつ多くとってもバチは当たらないと思うんですが、この良心価格も「天国酒場あるある」のひとつ。

「ミニ会席」なんかもあるんだ
これはこれでオツなもんでしょうなぁ!
何はともあれ、おでん(1品 100円)の盛り合わせと、ビール・大瓶(500円)をお願いすると、まずはお通しを出していただきました。

キュウリの酢の物
ちょっとだけ運動した体に心地良い……。
えーみなさま、ここから、怒涛の「良すぎる画」が続きますので、いったん深呼吸してください。
以降は容赦なく、ジェットコースターのように、ただただ最高すぎた瞬間を反芻するだけの時間となります。
心の準備はいいですか?
それでは……

おでん

瓶ビール

そりゃあもう最高

魚(400円)
あえて何かは聞かずに注文してみたのですが、何パターンかの焼魚が頼めるようで、女将さんより「人数が多いからシシャモはどう?」とのご提案。
ハイ喜んで〜。

布引ラーメン(500円)
このラーメンが 500円ですって。
一体どうなっちゃってるんでしょうかね?
オーソドックスな醤油ラーメンよりもちょっと甘辛いようなスープと、コシとかそういった概念からはかけ離れた素朴な麺が妙にうまいです。
また、「伸びないうちに食べなくちゃ!」みたいな感情が湧いてこないタイプの一杯なので、酒のつまみに最適!
ちなみに「布引ラーメン」と地名が付いていることからも、お店の名物であることが想像できますが、その特徴を伺ったところ「水がいい」とのことでした。
うん、確かに、ラーメンなのにものすご〜く体をいたわってくれるような味わいだった!

鍋うどん(500円)
さらなる驚きがこれですよ!
見ての通り、ベースはインスタントのアルミ鍋うどんなのでしょう。
が、そこに過剰に追加された、「具」という名の「優しさ」!
ネギやしめじの食感と旨味が嬉しいし、僕の大好きな「あと乗せサクサク」タイプの天ぷら! これ、今のシチュエーションともあいまって、むしろ揚げたての天ぷらより嬉しいくらいです。

半熟玉子を崩すだけのことが、最高のエンターテイメントに
とどめは切れ込みを入れて熱々に焼いたモチで、これがスープに絡んだとこのうまさなんかもう感涙もの!
いや〜、500円のうどんでここまで感動させてくれますか〜……。

湯豆腐(500円)
今日は人数もいますし、次に来られるのがいつになるかわからないしで、どんどん行きますよ。
「湯豆腐」と言われてこの鍋が出てきたら、そりゃあ、豆腐が一丁に、ペラッとダシ用の昆布、良くてネギと、タラの切り身が一切れ入ってれば誰でも納得するでしょう?
ところが、おんたき茶屋さんがそれで済むはずがないことくらい、もうたやすく想像がつきますね。

それにしても豪華すぎ!
まずもって、具が乗りすぎて豆腐がほとんど見えない!
パッと見ただけでも、青ネギ、白菜、おぼろ昆布、しめじ、ちくわ、さらに珍しい刻みアナゴまで確認できます!
で、さらに掘り起こしてみると、

豚肉まで出てきた〜!
と思ったら、まさかの、

鶏肉も出てきた〜!
やりすぎですってば……。
ここまでしてくれなくても、誰も文句言いませんって。
いや、わかります、「お客さんが喜ぶから」って言いたいんでしょう?
だけど、もしも辛くなったら、遠慮なく具、減らしてくださいね。
ひとりでそんな謎の脳内会話を繰り広げてしまうほどの感動とともに、様々な具から溢れた旨味をたたえた湯豆腐をじっくりと堪能。
あの、そろそろ忘れてると思いますけど、これらの素晴らしい料理の数々、

目の前の滝を見ながら頂いてますからね?
いやぁ、とんでもね〜。
ところで、あまりにも絶品な料理の数々を前に、あれこれ飲んでみたくなるのは酒飲みの性。
メニュー表にお酒はビールしか載っていませんでしたが、一応ダメもとで「お酒って他にはないですか?」って聞いてみたんですね。
そしたら、

あったよね〜
値段を確認し忘れてしまったんですが、最後にお会計した時全員ショックでひっくり返るくらい安かったんで、たぶん普通にお手頃価格。
このタイミングでチューハイのちょっとした甘酸っぱさが嬉しく、また、

ワンカップをストーブでお燗しちゃう
という暴挙まで飛び出す始末。
これぞ人類最高の贅沢と言っても過言ではないですね。

う、うまい〜……

全員夢心地
このあたりでさすがに大満足し、お会計をお願いすると、

熱いお茶が
これ、お店に着いた時にもまず出して頂いていたんですが、飲み食いの最初と最後にお茶を頂くっていう、一般的な居酒屋ではありえない優しさがまた、心と体に染み渡るんですよね。

女将さんはアイドルのような可愛らしさ
年上(であろう)女性に失礼ですが。
はぁ〜、事前にお店の存在を知った時点で期待は高まりまくっていたんですが、そんなハードルを棒高跳びで軽々飛び越えるほどに素晴らしすぎました、おんたき茶屋さん。
自宅の練馬区から新神戸はそんなに近くないけど、絶対にまた来ます! 何度でも!
以上、関西で新しく見つけた天国酒場でした。
ところで、おんたき茶屋のトイレは、山道をさらに2〜3分上った先にあある登山客用のものを使うシステムになっています。
僕もお店を出た後に寄ったんですが、そこのシチュエーションがまたすごい!
山の中腹の開けた展望広場になっていて、

おあつらえ向けの椅子やテーブルまであり
となれば、

いざという時のために持っていた酒
を

飲まざるをえませんよね

神戸港を眺めながら
あぁ、神戸に移住したい……。
布引雄滝茶屋(おんたき茶屋)
住所:兵庫県神戸市中央区葺合町布引遊園地45
電話:078-241-3484
アクセス:北神急行電鉄 JR山陽新幹線 新神戸駅
告知