大衆酒場ベスト1000

2017年10月05日

第144回「たけしや(長野・松本)/やきそば」

憧れの地「長野・松本」で、ふらり昼飲み散歩

9月23日 〜 24日にかけて、長野県松本市「アルプス公園」で行われた「りんご音楽祭2017」、その1日目に今年、出演させてもらいました。
そう、みなさん完全に忘れてると思いますが、僕、一応ミュージシャンなんすよ。

……まぁ、出させてもらったのはトークステージで、スズキナオさんと一緒に酒の話をしてきただけなんですけどね。




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こんな感じのステージでした



その経験は言わずもがな、最初から最後まで完璧に楽しく、また、夜はトークステージの関係者のみんなで近くのコテージに泊まり、バーベキュー&宴会。
こんな僕に声をかけてくれた金原みわさん、よいまつりさんをはじめ、スズキナオさん、佐伯誠之助さん、原田ちあきさん、シカクさんといった、個性溢れすぎるメンバーが勢ぞろいしてるわけで、そりゃあ夢のような時間に決まってます。




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みんなが食べてた朝ごはんもやけに美味しそうだった



もう本当、関わってくれた、気にかけてくれた全ての方々に感謝。
一生の思い出ができました。

その時の楽しかった思い出を覚えている限り全てここに書き連ねておきたいのは山々なんですが、この連載の本題といえば「酒場」ですよね。
というわけで今回は、その後ひとりで松本市内をふらつき、酒を飲んだ思い出について書かせてもらおうと思います。


松本にはずっと憧れを抱いていました。

というのも、これまでにも何度か言ってますが、僕は居酒屋研究家の太田和彦先生を大尊敬しており、その太田先生の出身地が松本市。
若い頃には1日も早く東京に出たかったそうですが、年齢を重ね、渋い酒場の良さを知り、そしてふと思い立って訪れた故郷での飲み歩きの記録が「ニッポン居酒屋放浪記 立志編」に収録されています。
これが本当にたまらなく、僕もいずれ必ず飲み歩き、その空気に触れてみたいと思っていました。
なので、りんご音楽祭はもちろん、松本に行けるということ自体が本当に嬉しかったんですよね。

しかしながらいろいろと事情もありまして、今回の予定はけっこうタイトなこんな感じ。

9月23日
朝7時、新宿から特急「あずさ」で松本へ。
3時間後に松本着、すぐにりんご音楽祭会場へ移動しトーク出演。
夕方には宿泊コテージへ移動。
酒飲んで就寝。

9月24日
コテージからりんご音楽祭会場へ向かうバスに乗せてもらい、会場へは行かずに松本駅付近で途中下車。
13時の特急発車時刻まで自由行動。

そう、つまり、夜の松本の街を飲み歩く時間は全くなく、9月24日(日)の午前 10時30分 〜 13時まで、約 2時間半しか自由時間がない。
とはいえ、それだけあれば余裕で酒くらい飲めるでしょう!


というわけでひとり、松本駅周辺の散策をスタート。




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憧れの松本駅



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豊かな川の流れと、その先の山々が美しい



元来無目的に街をぶらつくのが最大の趣味の僕ですが、初めて訪れる土地なら興奮も倍増。
どっちを向いても楽しすぎます。




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安さの表現に「発狂的」



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ダウンタウンのコンビ愛的な店



この看板、どっかで見たことある気がする。
「VOW」かな?




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白米押しすぎ食堂



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こんな良い風景は無限にある



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中でもディティールの隅々まで最高にかっこよかった中華屋さん



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この枠の形とアンテナのバランス!



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味わいの極地



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地方都市名物「いつからあるのかわからない廃スクーター」



まだ午前中で、さすがに営業している酒場は見当たりません。
本来はなるべく下調べをしないでおいて、気になる酒場に飛び込むという飲み方こそが最高に楽しいんですが、こういう状況、路頭に迷ってけっきょく飲める店がなかったという事態だけは避けたいですよね。
というわけで、最低限の下調べをしておきました。

どんな街でも昼間っから飲める可能性が高いのが「中華屋」と「定食屋」。
今回ちょっとおもしろい地元ならではのお店を見つけてあるので、そっち方面に向かってみましょう!




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信州だけに蕎麦屋はたくさんある



が、やっぱりもっと大衆的な、地元密着のお店へ入ってみたいですよね。




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けっこう目に付いたのがタイ料理屋



こちらの可愛らしいお店は、タイ南部料理専門だそうで、やってれば入ってみたいなぁ。




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タイ料理なのに「京子



なかなか勇気のいるネーミングをしましたね。

そして! その向かい側にあるのが、今日のお目あて、







オープンは 11時からとの情報でしたが、15分前くらいにお店の前に着くと、ちょうどお姉さんがのれんを出している最中。
「もう大丈夫ですか?」と伺うと「どうぞ〜」とのことだったので、光栄にも口開けの客としておじゃますることができました。




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清潔な店内



建替えからそう年数が経ってないんでしょう。
隅から隅までピッカピカですが、何かこう、一朝一夕には出ない重みのような空気も漂っています。
それもそのはずで、たけしやの創業は 1955年。
60年以上にも渡って地元民に愛されてきたお店だそうで、こちらと「南店」の 2店で営業中だそうです。

おっと、まだ説明してませんでしたね。
ここ「たけしや」が何屋さんかというと……




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ソースやきそば専門店!



僕は普段、お昼ご飯はおろか、居酒屋のつまみでも「焼きそば」ってほとんど頼んだ記憶がないんですが、松本という土地にしかない、しかも専門店きたら、気にならざるをえないじゃないですか!




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種類&トッピング豊富



トッピングメニュー付近の「オリジナルやきそば作ります」の一文が、意地汚い酒飲みの闘志を煽りまくってきます。
僕ら、こういうシステムに弱くて、「自分ならばこれとこれを組み合わせて、さらにこうだ!」みたいなことを考えてる時間が最高に楽しいんですよ。
で、「ふふ、きっと店員さんも驚いたことだろう……」ってな自己満足に浸ると。
まぁ絶対驚いてないんですけどね。


ではでは、いよいよ松本の街での一杯目を頂きましょうか。




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キリンラガー中瓶(500円)



サービスの柿ピーが 2袋、しかも小皿付きというのが泣くほど嬉しい。




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当然こうなりますわな



初めての松本に乾杯。
いや、もはや祝杯。

柿ピーをポリポリ、ビールをチビリチビリとやっていると、すぐにやってきましたよ。




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どーん!!!



焼きそば様!

ここで初入店である僕のデッキをご説明しましょう。
まずは焼きそばの「肉」(650円)「にんにく」(50円)をトッピング。
さらに「お得なセット」(200円)で、「めだまやき」「小ライス」「つけもの」を追加して、締めて 900円で、この完璧すぎるセットの完成〜!
どうです? 隙、なくないすか?




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かなりの太麺



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牛肉もゴロゴロ



ワシっと掴んですすり込む、というか、相当な太麺なので口に押し込むという方が正確でしょうか。
とにかく豪快にほおばると、甘辛いソース、ガシガシとした麺、両方の力強さがお互い一歩も引かずに主張し合って、なんだか笑っちゃうような美味しさ。
しばし夢中で食べ進め、思い出したようにビールをグビッ。
いや、最高です……。




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よく浸かりの漬物がまた良いつまみに



卓上にはいろいろと調味料があって、常連さんは好みでチューニングするのでしょう。
中でも珍しかったのが、




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「にんにくす」



興味があるけどどんな味になるかわからないので、さっきの柿ピーを食べ終わった小皿に麺を少し取り、ちょろっと垂らしてみます。




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なるほど、こういう味になるのか



酸味が加わったことによって、急激に焼きそば感が薄れ、麺の力強さがより引き立って、どこかまぜそばのような味わいに。
これは後半の味変にいいな〜。

と、確認したところでメイン皿に戻りまして、




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紅ショウガ投入!



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目玉焼きの黄身入刀!



もうね、最強です……。
官能の世界。

そしてまた、ビールもそうなんですが、




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白メシも進む進む



ご注目ください。
この「一回肉だけをおかずにしてご飯食べてみ〜ようっと」っていう下品な行為こそ、僕の意地汚さの現れ。
恥ずかしいんすけど、ご飯のアップの写真がこれしか残ってないので、自戒の念を込めて公開しておきますね。

いや〜食った食った、超〜満腹!
また松本に来たら絶対寄りたいお店に出会うことができました。
ごちそうさまでした!


さて、まだ時間はあるので、腹ごなしもかねて市内散策を続けましょう。




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とにかく美しい街並



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街のランドマーク「松本城」が見えてきました



いや〜、凛としてかっこいいお城ですね〜。
気軽に天守閣でも見学できるなら寄ってみたいな、と思いきや、




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こういう感じなのか



今回は断念。
またいずれ。

ちなみにお城の周りは、休日だけどものすごい人出って感じではなく、観光客と地元の人が半々くらいのイメージ。
特に地元民と思われる方たちの、




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何をするでもなく、お城の前でチルアウトしてる感じ



が、すごく羨ましかったです。


松本は、戦災の被害を逃れたおかげで、戦前からの古い建造物があちこちに残っているのも魅力の街。




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散歩しているだけでいくらでもこういうかっこいい建物に出会えて、飽きることがありません。




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「酒」という漢字の中に強引にワイングラス



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うわーこれまた






よし、次に松本に来たら、夕方にここに寄って、夜の街散策のスタートだな。
想像するだけで最高。

おっと、ぼちぼち駅に向かって歩き出しておいた方がいい時間帯になってきました。




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さらに先述した太田和彦先生が、TV 番組で「この先に僕の実家があった。今は小さな公園になっている」とおっしゃられていたあたりを歩いてみると……




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ここだろうか



確かに小さな公園が。
太田先生の生家があったのは、この場所かもしれないし、違うかもしれないけど、何か敬虔な気持ちになりました。




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ん? 何あの建物!?



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かき船



飲食店だ!




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うわー水路に浮かんでる!



これは、僕が近年必死になって追い求めている「天国酒場」そのものじゃないですか!
松本にもあったんだな〜。

気になって調べてみると、「かき船」とは、カキ売り船を起源とする「川辺に係留した和船でカキ料理を食べさせる飲食店」の総称で、その歴史は 300年以上前にさかのぼるそう。
広島や大阪にも同様の店が残っているようで、これはひとつひとつ訪れてみたいな〜。
新しい宿題だ。




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遠景の風情もやっぱり最高




おっつ、ぼちぼち駅に向かって歩き出しておいた方がいい時間帯になってきました。

今まで黙ってたんですが、実はさっき、「たけしや」の並びに一軒の気になるお店を見つけていたんですよね。
なんだか早くから飲めそうな感じだったので、中にいた店員さんに「何時からですか?」と聞くと、「11時です」と。
もう余裕で 11時は過ぎています。

駅に向かう途中なんで、入れそうならそこで一杯やって締めることにしますか。




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あ、ここだここだ



ワインカフェ Sarto」。

普段なら僕から進んで入ることはなさそうなおしゃれなワインバーですが、様々な条件が揃ってのこういう出会いも縁。
ランチメニューの他に、単品もいろいろ黒板に載っていて、きっと頼めるでしょう。
おじゃましま〜す!

というわけで頂いたのが……




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馬肉のタルタル(800円)



まさか松本で、長野の名物、しかもこんなにちゃんとした馬肉を頂けるとは〜!

もちろん合わせるのは、




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ワイン



よくわからないもんでフィーリングで、チリの「トレス・パラシオス・ピノ・ノワール」(580円)をグラスで。
うん、最高のマリアージュ。

……っていうか馬肉のタルタル、




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めっちゃくちゃうまいんすけど!




以上、短時間でも意外としっかり楽しめた、松本散策の様子でした。
次は必ず夜だな。
まずは「塩井の湯」に入って。
あ〜、いつ行けるだろう? 楽しみすぎる〜!




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自分へのおみやげは「松本城キーホルダー」にしました






住所:長野県松本市大手2-9-21
電話:0263-32-5173
アクセス:JR篠ノ井線 北松本駅




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posted by パリッコ at 11:00 | Comment(1) | 第126回〜第150回
この記事へのコメント
久々の更新ありがとうございます!
最近、色々なメディアでパリッコさんの文章を見かけますが、やっぱりこのブログが生き生きとしてていいですね!
これからもずっと続けて下さいね。応援してます!
Posted by 福島県の酔っ払い at 2017年11月23日 07:24
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