うまさと安さで客をねじ伏せる系の名店
「お客様は神様です」というフレーズ、聞いたことありますよね。
歌手の三波春夫さんが、自身の歌やコンサートに対する姿勢を語った言葉ですが、それを曲解してしまって、たまに飲食店などで「金を払ってるんだから、こっちは神様なんだから、最高のサービスでもてなされて当然」なんて勘違いしている人がいる。
が、このフレーズについては、三波春夫さんのオフィシャルサイトにも、きちんと見解が記されています。
そもそも、飲食店とお客の立場って、単純に両者にとって同等の価値のある「お金」というものを介した、人対人のやりとりであって、どっちが偉いなんてありえません。
なので、店員さんに対して威張ったり、自分の思い通りのサービスが受けられなくて文句を言うなんて、愚の骨頂。
だからして、自分が好きなお店、嫌いなお店、尊敬するお店、軽蔑するお店、いろいろあるのは当然で、それは例えば、普段の「友達づきあい」となんら変わらないんじゃないかと思います。
行きたければ行けばいい。
行きたくなければ行かなければいい。
ただそれだけ。
ところで、東京下町、曳舟という街に「かどや」という大衆酒場があり、知ってる人は知ってると思うんですが、ツイッターに、「真面目な向島かどや」という公式アカウントの他に、裏の顔ともいえる「黒かどや」というアカウントがありまして、これがま〜、過激!
興味がある方は検索してみるといいと思うんですが、まず、かな〜り口が悪い。
「今日来たクソ客が〜」なんてフレーズがポンポン出てくる。
これを見て「あらいやだ」と眉をひそめ、「こんな物騒な言葉づかいをする店主のいるお店には行きたくない」と思った方はどうすればいいでしょう?
そう、行かなければいいんですよ!
え? 「お前はどうするんだ?」って?
僕は行きますよ。
だってここ、ちょっと常識の範疇を超えた、超〜いいお店なんですもん!
かどやに 2回ほど一緒に行ったことのあるスズキナオさん曰く「有無を言わさぬ良さでねじ伏せてくる店」。
あ、ここまで読んですでにちょっと引き気味の方、大丈夫です。
僕がなぜ冒頭の話を出したかって、店主の青木さん、基本「自分を神様と思っているお客」を否定しているだけのことが多く、言葉は過激だけど言ってることはぜんぜん間違っていない。
裏を返せば、常識的に、お店に対する最低限の敬意を持って接すれば、ぜんぜん怖い人ってわけじゃないし、行けば楽しく会話をしてますので。
難しいことじゃないんです。
サービスを提供する側とされる側、ではなく、きちんと人対人として接する。
最低限の注文はして、グラスがすでに空いているのにグダグダと居座ったりしない。
泥酔して周囲に迷惑をかけたりしない。
そのくらいです。
では、ここからはただただ圧倒的なかどやワールドを写真とともにご覧ください〜!

大衆酒場「かどや」
最寄駅の曳舟駅から徒歩 10分ほどと、あまりアクセスが良いとは言えない立地ながら、

連日地元の常連さんを中心に大にぎわい!
開店から 10年ちょっとと比較的新しいお店なんですが、この地元民からの愛されっぷりが、かどやが名店であることを証明しています。
それではさっそく、衝撃を受けていただきましょう。
まずはご覧ください、このメニュー!

レギュラーメニューも

日替わりメニューも

お酒も
とにかく安い!
あまりにも魅惑的な品々が、あまりにもお手頃すぎる!
このメニューを眺めながら迷っている時点で、すでに天国です。

お通しは「鯛の昆布締め」

お酒は「瓶ビール 中瓶」(500円)から
じんわりと旨味の閉じ込められた鯛の身を噛み締め、よく冷えたビールをグビリと。
はい、もうやばい!
いきなりやばい!
あ、ちなみに今日のメンバーは、僕と、お仕事関係で知り合った友人2名に加えて、

スズキナオさん
男4人でおじゃましましたので、思いっきりあれこれ堪能できそうですよ。

「鶏メット」(値段忘れ)
おっと、今日のおすすめということで、いきなり謎の料理が登場しました!
僕も完全に初めて聞くのですが「メット」とは、なんと豚の生ひき肉を使ったドイツ料理。
もちろん日本の飲食店で豚の生肉なんて出せるはずはなく、それを鶏肉でアレンジしたものだそうです。
舌触りまったりの鶏肉に、ネギやバゲットの食感がアクセントとなり、そして濃厚に広がるたっぷりバターの香り。
な、なんだこりゃー! すでに頭が理解することをあきらめ始めました・・・・・・。
唯一理解できること、それは、「異常にうまい」という事実のみ。

「牛レアユッケ」(400円)
え!? ユッケ? いいの?
とお思いでしょうが、違法なブツではないのであしからず。
こちら、自家製のローストビーフをユッケ風の切り方と味付けでアレンジしたもの。
そこに「牛レアユッケ」というメニュー名を付けてしまうところに、青木さんの攻めの姿勢が感じられますよね。
あぁ、かどやだな〜。
そんでもって、

うますぎにもほどがある!
そうそう、かつて大好きだったユッケのうまさって、こうだった! あぁ、また会えるなんて思ってなかったよ・・・・・・。

鶏ササミもユッケ風に!(値段忘れ)

これも泣くほどうまい
かどやに来たらまずどうしたって頼んでしまうのは上の 2品。
他にもいろいろと名物料理、旬の日替わり料理があるんですが、このレアーな魅力ばっかりはどうしようもありません。

「鳥ハラミ塩焼き」(300円)
これまたかどや名物! ぷりっぷりで適度な歯ごたえを持つ、そして旨味たっぷりの鶏ハラミ肉をシンプルな塩焼きに。

「純レバ」(300円)
東京下町のいくつかのお店で提供されている、ニラなどが入らない「純粋な」レバー炒め、「純レバ」。
甘辛いタレと、濃厚なレバーの風味。
たまりません・・・・・・。

「レモンサワー ピッチャー」(600円)
これまたかどや名物の(名物多すぎ)ピッチャーサワー!
注ぎ方にもよりますが、ジョッキで 3〜4杯分はあります。
それでこの値段。
また、テーブルにあるとなんだか、「海賊の宴」って感じで、豪快な気分になってくるのもいいんですよね。

「イワシ刺身」(300円)
美しいでしょう? 芸術的でしょう?
ね? すごすぎるでしょ? かどや。

「カンパチ刺身」(300円)
登場するたびに繰り返し言ってますが、ブリ〜カンパチラインは僕がもっとも好きなお刺身。
だから幸せです。

「赤貝刺身」(300円)「サーモン刺身」(300円)
もう説明いらないでしょう?

「マグロのう天刺身」(300円)
うわ! 希少部位であるマグロの脳天までが、他と並列のこの値段!?
ここまでくると、ちょっと意味がわからない・・・・・・。
赤身とトロのいいとこ取りのような旨味と食感。
仕入先との相当な信頼関係がないと、こんな上等な魚、そもそも手に入らないと思います。
そうか、「黒かどや」アカウントの過激発言の数々、あれはきっと、仕事に対する真面目さの裏返しだったんだな・・・・・・。

「ハモ天刺身」(250円)
刺身と言っても見ての通り、兵庫県姫路市「ヤマサ蒲鉾株式会社」が作る、原料に鱧を使った贅沢な練り物。
かどやで出しているということは、青木さんのお墨付きということ。
シルクのようになめらかな舌触りと、力強い旨味。
すごいな、これ・・・・・・。
はい、ここまで、大の男4人で猛烈に飲み食いしてきましたが、僕とナオさんはとっくにアラフォー。
そろそろ全員、お腹がいっぱいになってきました。
しかし! さすがのかどや。
まだまだ飲ませてくれます。

「ムカゴ素揚げ」(200円)
そういえばムカゴってなんだっけ? と思って今調べてみたら、「山芋の葉の付け根にできる球芽、いわば山芋の赤ちゃん」とのこと。
理解。
ホクホクとしたお芋の優しさと揚げられた皮の香ばしさ。
絶妙な塩気。
ほんのりと感じる土っぽい懐かしさ。
そしてぜ〜んぜんお腹にたまらないのに、ぐいぐい酒が飲めるつまみ力。
そうそう、今ほしかったの、こういうのこういうの!

「セリの根っこのきんぴら」(200円)
あ〜だからもう、こういうのこういうの!
2018年「ベスト・オブ・こういうのこういうの!」受賞おめでとうございます。
ラストは青木さんより、「今日はちょっとおもしろいものがありますよ」と、名古屋でおなじみのラーメンチェーン「スガキヤ」が出している「五目の素」をおすすめいただきました。
お店でも人気の「五目ごはん」が自宅でも作れるという嬉しい製品。

これを

こうしてもらうと!(値段忘れ)
素朴で温かい味わいの五目ご飯に、繊細に刻まれた大葉の爽やかさが加わり、2018年、「ベスト・オブ・シメ」も、まさかの受賞!
いや〜何もかもがうますぎた・・・・・・。
今日も幸せな時間をありがとうございました。
ごちそうさまでした!

東京スカイツリーのお膝元、押上駅も遠くなく、帰りはこちらから

かどやのあまりの良さを思い返し、スカイツリーを見上げながら硬直してしまったナオさん
住所:東京都墨田区向島5-30-6
電話:03-3626-9606
アクセス:東武伊勢崎線 曳舟駅
告知
最近、いろんなメディアでパリッコさんの文章を目にするのですが、このブログが一番生き生きとしてて良いですね。応援しております!