大衆酒場ベスト1000

2011年06月19日

第37回「小俣商店(大泉学園)/おまかせコース」

酒が繋いだ奇跡的な出会いに心から感謝した1日

今回紹介するお店は、今まででも一番変わってるかもしれません。
“大衆酒場”と括ってしまうのは完全に間違ってますし、もはや“お店”と呼ぶのも躊躇してしまうようなお店です。
しかしまさに昨日、この「小俣商店」さんでおいしい料理とお酒をたらふく堪能して来た事も事実。
店主さんに「店名伏せるんで、ネットで紹介してもいいですか?」と聞いたら「別に伏せなくてもていいよ。どうせ連絡先わかんないんだし。」とおっしゃられていたので今こうして記事を書いているわけですが、つまりそういうお店です。
今回の記事は、いつにもまして僕の“酒日記”の1ページとして、ご興味ある方のみお読み頂ければ幸いです。

では本題へ。

僕は西武池袋線の大泉学園という街に住んでいますが、家の近所に、前から気になっていた物件があったんです。
道路に面していて、築何十年かは経っていそうなこじんまりとした3階建ての建物なんですが、1階部分がどうもお店っぽくなっている。
でもいつ通っても営業はしていなくて、窓もカーテンで遮られていて中の様子はほとんど見えないんですよね。
唯一窓辺に「洋菓子工房 小俣商店」とかかれたブラックボードだけが立て掛けてあります。
「もう潰れちゃったお店なのかな?」とも思ったんですが、それにしてはこう、なんて言うんでしょうか、営業していないお店特有の退廃感がなくて、さも「普段は営業しているけど、今日は定休日なんですよ」的な生命力を感じるんですよね。
そんなある日、夜にそのお店の前を通ったんですが、電気が点いている!
窓から漏れる光によって少しだけ店内の様子が見えて、明らかに厨房がある。
「やっぱこの店、生きている!」と確信し、しかし営業中というわけでもなく、謎は深まるばかりでした。

最初に気になってからもう2年くらいは経ったでしょうか、ここで場面転換。

先日、大泉のお隣石神井公園という街にある某酒場で飲んでいた時の事。
そこは飲みに来ている方々みんなが割りと気軽に言葉を交わしたりする雰囲気のお店で、その日もとある男性と知り合いました。

「お仕事何されてるんですか〜?」なんて気軽な会話を交わしていたのですが、その男性、お菓子職人さんらしい。
普段あんまり知り合う事ないですからね、お菓子職人さんに。
興味深々で色々とお話伺ってたんですよ。
そうしたら、今は自分のお店をやられていて、それはどの辺にあるお店で、と、聞けば聞くほど「まさか!」って感じで、件の「洋菓子工房 小俣商店」に情報がフォーカスされて行くんですね。
で、お名前を伺うとずばり“小俣さん”ですよ!

これにはびびった。
大げさと思われるかも知れませんが、鳥肌立った。

ここぞとばかりに溜まりに溜まった謎をぶつけ、判明したのが以下の情報です。

  • 小俣商店は営業している。
  • 小俣さんが一人でやられている。
  • 小俣さんは、忙しいのが嫌いで、ウエディングケーキなんかの注文を受けたりしながらマイペースに営業していて、お店が開いている事はあんまりない。
  • 夏は1〜2ヶ月海の方に行っちゃうから、仕事はしないよ。

とこんな感じ。
実に憧れるライフスタイルじゃあないですか!
と同時に、これまでの謎も全て解けました。

しかしこれだけじゃなかったんですよね。
さらにテンションの上がる情報をゲット!

  • 小俣さんは過去に10年間、ヨーロッパの本場のお店を4ヶ国に渡って修行されていた。
  • そういったお店では、お菓子だけでなく様々なパートを任されるので、料理も得意だし好き。
  • 小俣商店の2階に広間があって、予算や人数に応じて料理を振舞ってくれる会も開かれている!

これで興味持たないわけないでしょ。
即その場で電話番号とメールアドレスを交換させて頂き、会の遂行を約束させて頂いた次第です。

さて、ここまでが前置き。
長くてすいません。

その後メールでやりとりしたり打ち合わせに伺ったりしながら、遂に会が実行されたのが昨日というわけです!
今も興奮冷めやらぬ状態で、余韻に浸りながらキーボードを打っているわけです!

それでは具体的にどんなだったかをご紹介して行きたいと思います。

まず人数ですが、10数人は入れる広さの会場という事だったので、10人で伺いました。
予算は1人3,500円とさせて頂きました。
初めてなのでお料理の内容は全て小俣さんにお任せしましたが、肉料理、パスタ、ピザ、デザート、それからファンが多いという自家製サングリアなど、打ち合わせ段階でこちらのなんとなくの希望と小俣さんの得意料理を話したり聞いたりしながら、大体こんな感じで、あとはその時市場にあるいい素材で作るよ、って感じにしてもらいました。
気になるお酒ですが“なんでも持ち込んでいい”という信じられないお言葉を頂いたので、遠慮なく持ち込ませて頂きました(ビール、ワイン、梅酒、いいちこ等)。

ではまずドキドキの店内、1階はジブリアニメに出て来そうな、雰囲気のある厨房になってました。
その奥から階段を通って2階の会場に足を踏み入れると…




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ザ・人ん家





人数に合わせ、テーブルが2つくっつけて配置されていて、親戚の家での新年会感満載です。

小俣さんは1階の厨房でどんどん料理を作ってくれるので、定期的に様子を伺いながら自分たちで料理を取りに行きます。

じゃあここからは奇跡の絶品料理たちを出て来た順にご紹介。




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タコとヤリイカのゲソのマリネ





うまい…。
タコは歯ごたえがしっかりしていて味が濃い。
イカはプリプリしてどんどん食いたい感じ。
素材の味を生かして若干薄めに、しかしながら絶妙にされた味付けが完璧すぎる!




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肉味噌とバゲット





一見何かのパテのようなお洒落さですが、ひき肉がたっぷり入って甘辛く味付けられた肉味噌です。
ですのでもちろんキュウリにも合う!
なんでここまで絶妙に!ってくらいにもう、おいしくて濃厚で、否が応にも酒が進む!




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地元野菜と生トウモロコシのサラダ





練馬区ってご存知の通り農家なんかもけっこうあって、庭先で一般向けに野菜売ってたりする所も多いんですよね。
そういった所で仕入れられた、低農薬の新鮮な野菜で作られたサラダです。
トウモロコシは生ですが、みずみずしくて甘い!




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ローストビーフ





…いやもうね、最高。
赤身なのに柔らかくて、肉の旨みがこれでもか!と詰まっている。
この写真で伝わっているかわからないんですが、一切れがめちゃくちゃでっかくて、一口で食べた日には口中肉でいっぱいになって喋れないくらい。
ちなみに山形産の最高級牛肉の内モモの部分が使われているらしいです…。
それをひとり頭、2切れは頂けたかな。
わさびももちろんおろしたてです。




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マルゲリータピザ





いやいや、今まで食ったピザの中で一番おいしいんですけど!




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トマトとソーセージのピザ





ただでさえ美味しい生地とソース、チーズに、トマトと肉なんて反則なんですけど!




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ラム肉とマカロニの、なんか料理





これ本当ヤバかった…。
ラムの上品な風味とちょっと甘めなソースが、至福。
今日出た料理の中で一番好きかも。
あ、でも待って、やっぱ順位なんて付けられない!




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これでもかと分厚いラム肉!





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自家製パン





うまいー。
もうこのパン1種類しか売ってないパン屋さんを始めても、十分生計立つでしょう!




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渡り蟹の手打ちパスタ





もう笑うしかないっす…。
「蟹は出汁だから」なんておっしゃられてましたが、めちゃくちゃ身がついてる!
そして旨みが濃い!
手打ちのパスタは噛むとパツンと切れるプリプリの食感。

こんだけ食べたら、そらぁもう全員満腹。
恍惚放心状態です。
しかし下からは「まだなんか食べる〜?」の声。

もう胃に余裕なんてないんすよ。
でも舌だけはこれまでの幸福感を忘れられてない。
満場一致で「何か軽くつまめるものがあれば…」とリクエストすると、




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カレーソースとブルスケッタ





これこれ〜!
まさにこれが欲しかった!ってなもんです。

ハァ〜、最高に満足しました。
どのお料理も味付けがいいのはもちろん、素材自体の味がすごく感じられて、本当にいい物を使っているんだなというのが、こんな僕にでもわかります。
体中の細胞が歓喜しているぞ!

さて、いくらなんでももう満足だし、なんかおいしい物食べ過ぎて申し訳なくなって来ました。
「ごちそうさまです、当分は麦ご飯とごま塩を中心とした質素な食事で過ごすようにしますから。」と小俣さんに挨拶しようとしたんですが、最後にモンスターが待ち構えていた!




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紅茶とオレンジのムース





デザートだ〜!!!

そう、忘れかけていたかもしれませんが小俣さんはお菓子職人だったんです!
これがもう絶品過ぎて、職人の意地と気迫すら感じる一品。

紅茶風味のムースのなかにしっとりとしたスポンジが入っていて、オレンジとミントの爽やかさが加わり、口中でたまらんハーモニーを奏でます。
オレンジは皮まで食べられ、皮を食べた時のちょっとした苦味がまた最高のアクセント!

これ、極限まで柔らかく作ってあるため、持ち帰りは出来ないそうです。
つまり、正真正銘ここでしか食べられない味。

いや〜さっきも似たような事言った気がしますが、本当に今まで食べた甘いもんの中で一番うまい!

自家製のサングリアとも良く合うと聞いて、試してみると、これまた想像以上に合う!
甘いお菓子と甘いお酒がこんなに合うなんて、自分の味覚が新たなゾーンに突入した気分ですよ。

あ、ちなみにそのサングリアなんですが、ワインとブランデーにフルーツが漬け込まれ、さらにスパイス類も効いていて、予想通り全員に大好評。
打ち合わせの段階で「1人1杯くらい飲めたらありがたいです。」なんつってお願いしていたんですが、出てきたの4リットルですよ!




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これ!





すいません、写真撮り忘れちゃって、酔いに任せてブレブレの写真に唯一写っているのを証拠とさせて下さい。
もうほとんど飲み切っちゃってますが、この名称不明のでっかい器にたっぷりと作ってあり、全員心行くまで堪能して、むしろお酒持ち込まなくてもよかったんじゃないかってくらいでした。

さてここから確認作業に入りますが、以上のお料理!サングリアまで含めて!

なんと1人3,500円で出してもらったんすよ!!?

これ、現実だったんすかね?
もうね、ローストビーフが出たあたりですでに申し訳なさ全開でした。
だのにさらに次から次へと奇跡の料理が出て来るんで、もう途中からは開き直るしかなかったです。

「こんなに出してもらっていいんですか?」って聞いたら「いや〜人数多いとでっかい塊の肉焼けるし、僕も楽しいんだよ!」なんて、底抜けに明るい小俣さん。
確実に後光が差して見えました。

というわけで、こういう出会いがあるからお酒が好きで良かったと再確認し、そして何より小俣シェフに心から感謝した1日でございました。


営業日が決まっているわけでも、特定のメニューがあるわけでもないお店の紹介となってしまいすみません。
ご興味がある方は、とにかくウロウロしてみて頂ければと思う次第です。

それでは。


posted by パリッコ at 12:00 | Comment(0) | 第26回〜第50回
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