大衆酒場ベスト1000

2010年08月03日

第17回「あかちょうちん(高円寺)/回鍋肉」

本編の前に告知を1件失礼します

三才ブックスさんから7/27に発売されたムック本「東京朝呑み散歩」に計6ページほど漫画風の居酒屋レビュー記事を寄稿しました!

東京の朝から飲める酒場を徹底的に紹介するという、ついにここまで来たか!って感じの、読み物としてもガイドとしても大変役に立つ本ですので、書店でお見かけの際は是非チェックお願いします!






中央線大衆酒場の頂点

さて、それでは本題に。

僕は今でこそ30歳を過ぎ、結婚もしまして、酒量も(これでも)だいぶ落ち着いてはいるんですが、5〜6年前くらいまでは本当に生き急ぐように飲み狂っていて、2〜3週間毎晩連続で飲み会とか、何ら珍しい事ではありませんでした。
中でも高円寺という街には特に入り浸っており、20代のほとんどの間、平均して週に4日は高円寺で飲んでました。
数えた事はないけど、高円寺の居酒屋だけで優に100〜200件は回ったんじゃないかと。

そんな訳で色々お気に入りの店や、2度と顔を出せない店、思い出のあるあんな店やこんな店が多数存在するんですが、中でもダントツ思い入れトップのお店が今回紹介する「あかちょうちん」さんです。

あかちょうちん…店名からしてキテますよね。
普通は入り口に赤いちょうちんが目印としてぶる下がってて、そこに○○屋やらなんやら、店名が書いてあるもんなのに、店名が“あかちょうちん”。
この大雑把さがたまらなく愛しいです。

そんなあかちょうちん、北口は庚申通りの入り口近くにあり、界隈では知らない者のいない有名店です。
というのも、とにかく安い!
もう本当、親の仇のように安い!
鬼の首でも取ったかのように安い!
日本全国から高円寺という街に、誘蛾灯に群がる虫たちのように集まって来る売れないバンドマンたちにとって、オアシスのような存在なんですね。

それじゃあどんだけ安いのか、入り口から順を追って見ていきましょうか。




0803_01.jpg
タイムサービス(安い)





0803_02.jpg
本日のサービス品(安い)





0803_03.jpg
宴会コース(安い)





どうです?
まだ店に入ってないのにこの安さですよ?
もはや安さの押し売り。
安さの波状攻撃。

クラクラしながら店内に入って、まずは生ビールでも一杯引っ掛けて落ち着きましょう。
で、次のオーダーなんですが、何しろ居酒屋で安く済まそうってんなら、焼酎のボトルですよね。
僕はこの焼酎のボトルこそ、あかちょうちんが最もポテンシャルを発揮するメニューだと思っています。

まず、ボトルは一升瓶で出て来ます。
ご存知だとは思いますが、1升っていうと1800ml!
一般的な居酒屋で焼酎のボトル頼むと大概700mlくらいか、ちょっとこまっしゃくれた店だと350mlとかだったりするんで、その頼もしさは納得して頂けると思います。

種類は「いいちこ」「二階堂」「ちょっぺん」「(黒)桜島」「白波」「黒霧島」の6種類。
こちら各2900円になります。
十分安いでしょう?
でもこれで驚いていられないのがあかちょうちんの恐るべき所。

なんと毎週日、月、金曜日……焼酎ボトル半額になります!!!

これマジですよ。
上の6種類の焼酎1升、全て1450円!
明らかに原価割れてるwww

もちろんボトルキープも出来るので、1回頼んじゃえばその後何回かは酒代かからないなんてパターンは全然珍しくありません!

おっと、ところでボトルキープの際“ボトル会員カード”を受け取りましたね?
それをさっさと財布にしまおうとしているあなた!ちょっとそのカード、1回よく見て!




0803_04.jpg
カード表





「3本目と5本目は半額、6本目は焼酎のみ無料です」

さらに裏を見ると…




0803_05.jpg
カード裏





「飲物サービス30杯分(期限ナシ)」

やりすぎwww

ボトル1本入れただけでこの有り様!
特にカード裏面の(2)、サワー類は2杯サービスってとこに意地を感じます。
通えば通うほどに安くなるシステムで、お金のないバンドマンたちが集っちゃうのも分かりますよね。

さらに何回か通って店員さんと顔見知りになると、住所を聞かれて年賀状が届くようになります。
この年賀状が焼酎の一升瓶1本無料券を兼ねているという念の入れ様。
全く恐ろしい店だぜ!

と、ここまで食べ物の事には触れて来ませんでしたが、とにかく料理は何でも安いんで好きに頼んで下さいね。
「これ明らかに隣のららマートで買って来ただろ!」って突っ込み入れたくなるような、いかにも冷凍のタコ焼きとかも出て来ますが、文句を言うのはヤボってもんですよ。
コーンたっぷりのピザパイとか、ギザギザした大量のポテトとか、炒めた豚肉がご飯にドサッと乗ってる焼肉ライスとか、全体的にジャンクっぽいんだけどそれがまたお酒に合っちゃうんですよね。

そんな中でも店員さんに本場の方が多いようで、台湾料理コーナーはオススメ!
特に僕のお気に入りは回鍋肉でして、厚めの衣を纏った厚めの豚肉がキャベツと共にザクザクとした心地良い歯応えを演出。
ちょっと濃いめの甘辛いタレがたっぷり絡んでお酒が進む!
お店に行ったら、是非頼んでみて下さいね。




0803_06.jpg
回鍋肉/480円





ところでもういい加減“安い”って事は伝わり切ったかと思いますけど、それにしたってあかちょうちんは地元民を中心に愛され過ぎてます。
それは何故か?
僕は、店長の東(あずま)さんの存在による所が大きいと思うんですよね。

いやまぁ、普通のおじさんなんですけどね、東さん。
台湾訛り(?)のある日本語でニコニコと接客してくれて、そこに人の良さが滲み出てるんですよ。
まさに究極の癒し系おじさん!
忙しい時は無意識に言葉遣いが荒くなったりしてますけど、そこがまたおもしろいというかね。
あかちょうちんに行く理由の半分は、東さんに会いに行くためと言っても過言ではないほど、そこにはつい「ただいま!」と言いたくなる居心地の良さがあります。
こればっかりは実際に会ってみないと分からないと思いますので、機会があれば是非足を運んでみて下さい!




……と、さて。
ここまで書いて来た上で実は、とてもショックで辛いお知らせをしなければなりません。

実はあかちょうちん、この9月でお店をたたんでしまうそうなのです。

昨年南口の居酒屋「石狩亭」が火事になり、その下にあった名門ライブハウス「20000V」と「GEAR」が営業を停止。
連日のようにあかちょうちんで打ち上げをしていたバンドマンたちの客足もガクッと落ち込んでいたようで、かくいう僕も先日久々に足を運んだんですが、その日も以前ほど活気がないかな、といった印象を受けました。
もちろんこの場で長くお店をやって来たあかちょうちんですから、それくらいでお店をたたむって事はないのでしょうが、まぁ僕らみたいなイチお客には分からない事情も色々あるのでしょう。

とにかくこの愛すべき名店に通えるのもあと2ヶ月弱となってしまいました。
思い入れの強いお店がなくなってしまうっていうのは本当に寂しい話ですけど、どうしようもないというのもまた事実。
せめてお店の営業が続く限りは、東さんの笑顔を肴にいいちこの一升瓶を飲みに行こうと思っています。


湿っぽくなって来たので、今回はこの辺でー!
夏バテ注意!




0803_07.jpg





あかちょうちん - 高円寺/居酒屋 [食べログ]


posted by パリッコ at 12:00 | Comment(0) | 第1回〜第25回
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。