大衆酒場ベスト1000

2010年03月16日

第8回「久昇(藤沢)/おから」

超有名店のイチオシは意外にも…

今回ご紹介する「久昇」さんもまた、大衆酒場通たちの間では説明不用の超名店の一つです。場所は藤沢。鎌倉へと続く江ノ電のスタート地点でもあり、なんかこう、半分普通の街、半分観光地みたいな、行くと妙にワクワクしてしまう大好きな場所ですね。お店は駅から2.3分の繁華街の中にあり、その外観は至ってド普通。藤沢はかなり開けた街ですので、まー見た感じ完全に街並に埋もれてます。気になる方はリンク先のホームページで写真を確認してみて下さい。とにかくお手本のような渋い大衆居酒屋。「酒処喰処」っていう店名よりでかい看板に妙な安心感がありますね。

 さて、そんなどこにでもありそうな居酒屋が、何故全国にまでその名を轟かせるほどの名店と呼ばれているのか!?もちろん理由は色々あるに決まってるんですが、その最たる物はシンプルに“丁寧な仕事”、これに尽きるでしょう。お店に入るとカウンターの上には、一品一品にきっちりとした仕事が施されている事が一目で分かる、色とりどりの肴が整然と並べられています。端から味見していきたくなるのをぐっとこらえてメニューに目をやると、その数なんと150品以上!さらにその日のおすすめ料理なんかも別紙で色々と用意されており、これほど注文に迷う店も珍しいですよ。藤沢は僕の家から近いとは言えずとてもちょくちょく通えるようなお店ではないので、当然味見出来たのはほんの一部だけ。なんですが、それでも頼んだ料理の全てが、決して派手ではないのに圧倒的なクオリティを誇っており、何を食べても最終的には目をつむって黙るしかないという状態に至りました。

 それから、時として味以上に良い居酒屋の決め手となる“接客”。こちらも素晴らしすぎますね。カウンターの中には黙々と美しい動きで調理するかっこいい板さんたち。その板さんをサポートするのが数人のおばちゃん軍団なんですが、もうその接客の気持ち良さといったらないっす。扉を開けると絶妙な距離感&音量の「いらっしゃいませ!」。常連さんが来れば軽口なんかにも付き合いながらいつものお酒を出す。こちらが初見のお客と見るや、初めての居酒屋に入っていく時のあの若干の緊張感を完全にカバーするパーフェクトなサポートでもってベストな席へと案内してくれます。その日のおすすめや名物なんかをにこやかに教えてくれますが、決して出過ぎ感を抱かせず。頼んだ物を「うまいうまい」なんて言いながら食ってると「おいしいですか?良かった〜!」なんつってフレンドリーに声をかけてくれたり、「いや、こちらこそ良かったです」って感じですよ本当。

 ところで久昇さんの一番の名物で、ほとんどの人が頼むお料理って何だと思います?まータイトルに書いちゃってるんでバレバレかとは思うんですが、そう“おから”なんです!おからっすよ?あの大豆の搾りカスの。いやそりゃ確かに好きだけどさ、他にも色々あるでしょうよ!?とツッコミたくなる所を我慢して、まずは頼んでみて下さい。おからの概念を覆されるので。




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おから/420円





 写真を見て頂ければ一目瞭然ですが、ここのおからはとにかく具が多い!もうおからっていうか、具の“つなぎ”と言っても過言ではないんじゃないでしょうか。小海老、タコ、長ネギ、にんじんなんかを惜し気もなく使い甘辛く炊かれたおからは、それぞれの具材の旨味、そして食感の面白さを存分に感じられるのはもちろん、そこにおから独特のあのムッチリというか、ネットリと言うか、そういった舌触りがプラスされる事によって、何倍にもその美味を増すという科学変化が起きております。おからって僕は好きでけっこう普段から食べるんですが、あんま食う機会ないな−って方も多いんじゃないでしょうか?そんな方にこそ試して欲しい、あなたの“おから感”を爆破解体するほどのポテンシャルを持ったおからがここにあります!

 他にももちろん、藤沢は海の近くですから、普通の刺し盛りや焼き魚系なんかも半端ないクオリティ。それからこちらも名物である牛筋のうま煮なんかもう、トロットロに煮込まれた牛筋にダシが染みて半透明になった大根、そこに爽やかさをプラスする長ネギ、トドメとばかり仕上げにかけられた生クリームが深すぎるコクを演出し、もう今手元に無い事が悲しすぎて、滂沱たる涙とよだれを禁じ得ないほどの逸品でした。あとさらに気に入ってしまったのが「納豆の塩辛」!すみませんが納豆で塩辛ってどういう製法で作られてんのか分からないんですけど、ただでさえ酒に合うあの納豆の、味の深みと濃厚さを10倍増して、それでいて独特のクセは全部旨味に変えちゃったような、とにかく「一体これ1皿で何杯酒を飲ませれば気が済むんだ!?」って味でもう、だめです。これ以上書いてるとまだ昼間なのに飲酒欲メーターが振り切れて酒屋にでも走り出しそうになって来ましたので、今回はこの辺で!またねー。




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昼間見るには目の毒過ぎる「納豆の塩辛」





久昇(キュウショウ)
久昇 本店 きゅうしょう - 藤沢/居酒屋 [食べログ]


posted by パリッコ at 12:00 | Comment(0) | 第1回〜第25回
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