絶妙な渋味が魅力の街“板橋”を体現したかのような名店!
ヤバいやつ始まりましたね、「チミドロ鈴木の早く老人になりたい」。
「大衆酒場ベスト1000」にも度々登場して頂いているチミドロのナオさんの連載ですが、もう導入部からして最高!
っていうかタイトル、テーマがすでに、同世代が到達出来る域をとっくに超えてますよね。
もしまだの方は、是非読まれて、新しい世界への扉を開かれるといいと思います。
で、今回ご紹介しようとしているのも、そんなナオさんと同行させてもらったお店なんですが。
つい先日の事で、メンバーはナオさんと、同じくチミドロメンバーのイッチーさん、そして僕と妻。
ちょっと珍しい組み合わせではありますが、だからと言って何が変わるという事もなく、ガツガツ場末の酒場を攻めます。
やって来たのは“板橋”。
この連載で登場するのは2回目となりますが、なんかたま〜に来たくなるんですよね、板橋。
超繁華街である池袋から散歩がてら歩けるくらいの距離なのに、とてもそうは思えない、街全体がボーッと寝ぼけた感じが魅力というか。
いまだに平屋建ての駅舎の周りはやたらと抜けがいいし、その周辺も良く言えば優雅、ストレートに言うと閑散としてるような感じなんですが、細部を見て行くと得体の知れないパワーに満ち溢れた街でもあり。
なによりそこかしこに残る昭和の残り香が本当に心地良くて、また僕、祖父母の家が昔板橋にあって子供の頃よく遊びに来ていたこともあり、妙にノスタルジックな心情に浸れる所もいいんですよねぇ。

街全体がぼんやりしたイメージ

以前紹介した平家が入ったテナントビルは、迷宮的

板橋最渋と思われる路地の入り口
さて、この日は17時前に集合していつも以上にガッツリと飲み歩く気満々です。
「気になる酒場は1軒1杯くらいのペースでガンガン攻めましょう!」と、誰が発案したわけでもないのに勝手に意思統一。
お馴染みの意味不明な使命感でもってハシゴして来ました。
まずは、17時オープンが多い板橋の酒場の中、16時過ぎには開いていたという理由で「駒八」さんにお邪魔しました。

おまかせ串6本盛り(650円)
外観からしてすでに結果は見えていましたが、安い、うまい、居心地いいのパーフェクトなお店ですね。
ちょっと豪華に牡蠣の串(と言っても1串に2つ身がついて180円)なんかも頂いてしまい、早くもいい気分でホッピーのナカ×2からチューハイへ。
まぁ初めから1軒1杯なんて守れるわけもないのはわかりきってたんですが、とにかくまったりと堪能致してしまいました。
で、「そろそろお店を変えましょう」ということになって、この2軒目が良かった!
「駒八」からほど近い、ホルモン道場「喜多八」さんです。

看板の“喜”は七が3つの草書体
1階は年季の入った看板からの想像通り、ベストな味わいのカウンター席。
今日は4人でお邪魔したので2階のテーブル席に通してもらったんですが、ここが意外にも(というと失礼ですが)小綺麗な座敷になっており、とても居心地の良いお店です。

ホラ!メニュー札もピカピカ!
席についてまず到着するのがお通しのお新香なわけですが、もうこれがヤバい!

あぁ、今すぐ口に放り込みたい…
酒飲み向けに割と濃い味に漬かってるんだけど、素材のフレッシュな風味はそのまま!
大根、きゅうり、キャベツ、にんじんがごちゃ混ぜになっているので必然、ラフにつまんで口に運ぶわけですが、この時の味と食感の混ざり具合がたまんねぇ!
もはやこの喜多八さんが名店だというのは判明したようなもんなので、壁のメニュー表を眺めながら、おつまみの方選んでいきたいと思います。
毎度のことながらこの瞬間が幸せ過ぎますね。
遠足や旅行の準備をしている、あのワクワク感とでも言いますか。
“ホルモン道場”の名の通り、串から一品料理に至るまでホルモン系のメニューは充実してますが、まずは軽めな物から攻めてみます。

ガツ刺(450円)
なんだかサラダみたいですね。
しかし上の野菜をよけると…

中から頼りになりそうなガツが!
新鮮で臭みのない、シャキシャキと素晴らしい歯応えのガツですが、これをかなり細切りにされた野菜類とおろし、タレとでぐちゃっと和えて頂くもんだからその食感の爽快さたるや!
なにより一品に対するこの仕事の丁寧さには感服です。

とりわさ(400円)
すごい!これまた新鮮で、うっとりするような鶏のタタキ!
ここにわさびとしょう油をチョッと付けて頂くんでそりゃあ間違いないってもんですが、添えられたみつばがこれまた新鮮でした。
鶏、わさび、みつばを一緒に頂くと、「みつばってこんなに…!」っていうね、わさびに全然負けてない風味を感じましたね。
青っぽくて、甘くて、上品で、とにかくこの取り合わせの妙、仕事っぷりにこちらもヤられました。

特製煮込鍋(380円)
“特製”なんて付けられちゃったらもう、気になってしょうがないですよね。
これも頼んでマジよかった!
ゴロゴロと惜しげもなく投入されたモツと大きめの豆腐にしっかりと味噌ベースの味が染み込んでもう、トロットロです。
その名の通り、ちょっとした鍋って具合の迫力ですが、これが380円とはねぇ…。
で、いよいよホルモン串なわけですが、これまた言う事なかったっす!

シロ、つくね タレ(各1本120円)

ナンコツ 塩(1本120円)
メニューに“大串”と書かれてるだけあってどっしりとした重量感が頼もしいです。
そして写真を見てもらえれば一目瞭然のこの新鮮さ!
また甘辛い中に、お店の歴史その物!ってな深みを感じる、タレが本当にうまい。
あ、もちろん塩で焼かれたナンコツの、肉本来の旨味を感じる焼き上がりも最高です。
そんでもって一番印象深かった、お店の名物らしき1串がこちら!

ホルモン焼き(1本180円)
部位は多分“ハラミ”だと思われます。
ハラミって横隔膜ってことでホルモンに含まれてますけど、要するに美味しい赤味の肉みたいなもんっすからね。
金串からグイッと引き抜きながら食べる豪快さも手伝い、肉!ステーキ!そんな贅沢感。
そして気になってるでしょう?この特製ダレ!
しょう油とお酢を味のベースに、玉ねぎなどの野菜をおろして作られたソースで、これがたっぷりとまぶしてあるわけです。
他のタレのような甘味ではなく、野菜と肉の甘味にしょう油味と酸味が加わり、もう思わず奇声を発してしまうほどのバランス感覚!
ヤベー、マジ幸せでした…。
はい、そんな感じで他にも何品かをちょこちょこつまみ、また次のお店へ。
もちろん必ず再訪することを誓いつつ。
その後は500円の湯豆腐がもう完全に“鍋”ってインパクトで、喜多八と双璧をなすくらい素晴らしかった「鳥ちゃん」へ。
ここ、またじっくり行って、そのうちこの連載で取り上げられたらってくらい良かったっす。

湯豆腐の写真はじらして、最高すぎる店内の雰囲気を
さらに池袋まで歩いて「二合」→「三兵」と計5件飲み歩き、完全に撃沈。
自分が歌ってる「LBTのファンキーフィーバー」の歌詞そのものっすね…、最後のこのコース。
そんなわけで、今回はこのへんで。
まだまだ名店珍店が眠っていそうな板橋、また行こ〜っと!
しかし「駒八」「喜多八」「鳥ちゃん」「二合」「三兵」、やけに店名に数字の入った店によく行った1日だったなー。
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駒八 こまはち - 板橋/焼鳥 [食べログ]
喜多八 - 板橋/居酒屋 [食べログ]
ぐるなび - 鳥ちゃん
三兵酒店 - 池袋/立ち飲み居酒屋・バー [食べログ]