昼間っから人世の先輩たちが踊り狂う!関東近郊で最も天国に近い楽園
今回は久々の“厳密に言うと酒場じゃない”シリーズとしまして、日帰りの温泉施設「綱島温泉東京園」さんをご紹介したいと思います。
一時期のスーパー銭湯ブームとでも言うような盛り上がりがあったり、“実は温泉って掘ればどこでも出る”みたいな話も聞くくらいで、全国に日帰りの入浴施設ってたくさん出来ましたよね。
どこもきれいで趣向を凝らしてあって、遠出しなくても旅気分が味わえる本当に素敵な場所だと思います。
ところがそんな近代的入浴施設など我関せずと、とっくの昔からなんら変わる事なく営業しているのがここ、東京園なんです。
場所は東急東横線「綱島」駅。
東京園と名乗ってはいますが神奈川県にありまして、まぁディズニーランド方式ですね。
綱島駅から徒歩1、2分、すぐに見えて来るのがこの堂々とした黄色い建物。

青い空に黄色が映える!
なかなか存在感のある外観じゃないですか?
ここが本日の舞台というわけです。
先ほども言いましたがこちら、洗練や洒脱といった言葉とは真逆のベクトルを向いています。
良く言えば“レトロ”ということになるんでしょうが、そんなものはエゴイスティックな我々人間が勝手に後付けした定義に過ぎず、当の東京園さんはレトロという言葉すら聞いたこともないといった素振り。
要するに、ただそこに昔からある、素っ気ない施設というわけです。
しかしそこにめちゃくちゃ味があるんだよな〜。

もう入ったらすぐこんな
どっかの田舎町のコンビニ兼なんでも屋みたいな感じでとりあえず色々売ってます。
間違っても昨今のスーパー銭湯にありそうな、気の効いた山菜のお漬け物とか、特産品をアレンジしたふりかけとかそういった物はありません。
つぶれ梅(450円)、ノリの佃煮(150円)、ニンニクのしょうゆ漬け(400円)、アーモンド小魚(300円)、干しいも(320円)、むき甘栗(150円)等々…。
休憩所でちょっとつまんで、残ったら家に持ち帰って引き続き日常生活の中で活用出来る物、というコンセプトで選ばれたに違いない食品の数々が、そこらのスーパーと同じような価格で並んでます。
さらに中に歩みを進めると、

グダー…
っと、もうみなさん好き勝手にくつろいでいらっしゃいますね。
すべからく僕よりは高齢の方々とお見受けします。

建物の裏には広々とした庭
もちろんこまっしゃくれたオブジェなんて置いてませんし、鯉の泳ぐ池もありません。
ただ、草が生えています。
そこを猫が悠々と横切っていったりしています。
2階もあるので上がってみましょう。

だだっ広い座敷

よくわからないスペース
けっこう広くてごちゃごちゃと入り組んでいるので、探検するだけでも楽しいですよ。
この椅子とテーブルの一画だけを見たって、日がな一日ボーッと出来そうな快適さです。
しかしながら、東京園のメインフロアはここじゃないんだなー。
もう一度1階へ戻っていいですか?
先ほどは触れませんでしたが、みんながグダーっとくつろいでいた空間の横に、ちょっとした体育館のようなドーム状のスペースが存在します。
全体が座敷になっていてローテーブルが整然と並び、一画がステージになっています。
実はこここそが東京園のメインフロア!
老人たちの社交場!
初めて行った時は我が目を疑いましたが、昼間っからひっきりなしに老人たちがカラオケを歌い、歌ってない人はそれに会わせて踊る踊る!

ずうっとこの状態!
涅槃か!っていうね。
若輩者ながらこのフロアの隅っこに席を確保して飲む酒の、妙な味わい深さったらないですよ。
といったところで今度は飲食物に関してを見て行きたいんですが、これがまた最高!
ショーケースを完備した食品関連の売り場もありまして、

右を見ても!

左を見ても!
イカ焼き、焼鳥、アジフライ、春巻、ホタテタレ焼き、海老焼き、各種焼き魚…。
“お惣菜”としか形容できない食品たちが所狭しと並んでいます。
イワシの焼いたのなんか、1匹80円からありますよ!
それにとどまらず、缶詰、漬物、おかきにおせんべい、もなか1個50円、チョコレート1個30円なんてのまであります。
注文して作ってもらう系のメニューも豊富にあって、ビーフカレー(350円)、牛丼みそ汁付(350円)、ハヤシライス(350円)、親子丼みそ汁付(350円)、牛モツ煮込み(250円)、ラーメン(400円)、おでん(300円)、ざるそば(300円)、天ぷらそば/うどん(400円)等々。
お酒はウーロン、日本茶、レモン、グレープフルーツ、青リンゴ、梅の各サワー、そしてホッピー、ウイスキーが250円。
生ビールもなんと350円と、激安居酒屋なみのとことんお手頃価格。
さらに館内には自販機も用意してあって、ロングのチューハイ200円とか、全部がそんな感じ。
「悪いからもうちょっととって下さい!」とこちらが困惑するほどの価格で魅力的な品々が用意されており、そのラインナップの全てが昔おばあちゃんの家で見たものばかり!
これらは全てその場で買って、館内のどこでも好きな場所で頂けます。
というわけで「さ〜て、何から食ってやろうか!」という流れにいくと思うでしょう?
ところがまだ皆さんにお伝えしていない事実があったんですね。
先ほどから館内の宴会場などを紹介して来ましたが、実は2階に小さめの座敷もいくつかあって、そこ、貸し切りが出来るんです!
ちなみに東京園の入館料は大人900円。
ところがこれに午前中〜夕方までの座敷の貸し切りを付けても、なんと1,000円!
どう考えても計算がおかしいですが、入館料に1人につき100円プラスでプライベートな広間の貸し切りが可能なんですね〜。
そりゃあもちろんするでしょ!

本名で失礼しますw
で、もうそろそろ読んで下さってる方も嫌気がさして来た頃かとは思いますが、さらに衝撃的な事実をお知らせしなくてはなりません。
なんとここ…
“飲食物持ち込み自由”!
となればこうなりますよねぇ…

ザ・やりたい放題!
この時は有志10人ほどで小座敷の貸し切りをお願いしたんですが、参加者の持ち込みに駅前のスーパーで買い込んだ食材が加わり、テーブルの上はすさまじい状況にw

親戚んちか!っていうね
ちなみに部屋は大きな窓からたっぷり光が射し込んでなんとものどかな感じ。
冬でもポカポカして幸せです。
さて、これでも一応駆け足で紹介して来た東京園の魅力。
「まだ肝心の料理を全然紹介してないじゃないか!」っていうご意見、もっともだと思います。
だけどいつもの僕の、計画性のない行動パターンからもう予想はついていますよね?
そう“持ち込みだけでお腹いっぱい”になっちゃいました…。
つーわけで、最後にちょこっと、東京園で頼んだ数少ないお料理をご紹介してみたいと思います。

ニシン焼き(250円)
魅惑の焼き魚ラインナップからは、ニシンをチョイスしてみました!
なんかこの場には、魚の中でもニシンが合う気がしたんだよな〜。

子持ちニシン=カズノコ!
香ばしく焼き上げられた身、そこに贅沢に卵がたっぷり詰まって、こりゃ文句ないっすね。
まー完全に冷めてるけど、それでも文句はない!

ラーメン(400円)

ざるそば(300円)
これは一緒に行った誰かが食べてたやつだけど…きっと見た目通りの味だと思いますw
いや〜、つうわけであまりにもゆるくて最高な老人たちのパラダイス、綱島温泉東京園。
もう1個だけ衝撃の事実を教えてあげましょうか?
もうみんな忘れてるかもだけど、実はここ…
温泉あるんですw
いや、天国でしょ!
といったところで今回もこのへんで。
あまりお料理にスポットを当てられませんでしたが、1日ダラダラと風呂に入っては酒飲んでを繰り返せる最高のスポットなんでおすすめですよ〜。
あ、ところでピコカルの1つ前の記事、チミドロ鈴木の「早く老人になりたい」の「あらゆる場所に“いいちこ”を置け」の回が“デイリーポータルの最近の記事とモロかぶり”だったというオチは記憶に新しいと思います。
あの記事を読んで大変ほのぼのした気持ちになり、ケラケラと笑っていた僕ですが、今回の自分の記事も思いっきりかぶってますね…。
記事を書かれた大塚さんには何度かお会いしたことがありますが、あそこで歌ってしまうとはさすがに何枚も上手ですね!
っていうか料理の写真すらこっちの方が少ないしw
と、完全敗北宣言をしたところでまた次回〜!
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綱島ラジウム温泉〜東京園 [東横線綱島駅綱島商店街]