大衆酒場ベスト1000

2012年09月04日

第66回「たぬきや(稲田堤)/牛もつ煮込み」

日本で一番涅槃に近い(かもしれない)川辺の酒リゾート!

もうずっと、焦がれるほどに行きたいと思っていた酒場があったんです。
神奈川県川崎市「稲田堤」駅が最寄りで、多摩川のほとりにそっと佇む、いわゆる居酒屋というよりは休憩処に近いお店。
店名を「たぬきや」さんと言います。

以前も友人にお誘い頂いたことがあったんですが、その日は残念ながら都合が付かず。
存在だけは知っている状態で、たぬきやへの思いは募るばかりでした。

「ならば休みの日にでも勝手に行って来い!」と仰りたい気持ちもよくわかりますが、この稲田堤という駅、家から数えると何回乗り換えあるんだ?って感じで、結構ややこしいんすよね。
「いつか行きたいなぁ」と思いながら伸ばし伸ばしにしてしまっていて、そういうことってありません?

ところがそんなある日、救世主が登場しました!
最高の連載「早く老人になりたい」でもお馴染み、チミドロの鈴木ナオさん。
夏の中頃に連絡を頂きまして「稲田堤のたぬきやって店がいいらしいんで、今度会社の半休を利用して行こうと思っています。もし可能ならご一緒しませんか?」と。

いやぁ…感服です。
たぬきやという店のチョイス、そして多少面倒な位置にあることなど物ともしない行動力、さらに居酒屋に行くのに半休を使うという酔狂!
“出来る男”とはこういう方のためにある言葉でしょうね。

是非参加させて頂きたい由を伝え、日程を合わせ、「では8月の終わり頃に」ということになりまして、遂に先日、憧れのたぬきやに行って来ました!


でですね、まず結論から。
たぬきや、僕が今までの人生で築き上げた、今思えば大したことのない居酒屋観を軽々と打ち砕いてくれました。

もう、圧倒的な最高さ!
おかげで現在僕はスッキリと生まれ変わったような、乳飲み子のような気持ちでまた全ての酒場と対峙することが出来ています。
もうこれは“ゴールド・酒スペリエンス”と言ってしまっても過言ではないでしょう。


なんて、ハードル上げまくっちゃってますが、要は「最高のお店でした」ってだけなんで、今からその魅力を頑張ってお伝えしようと思います〜。

8月末のとある平日、会社を半休にて切り上げたナオさん、そして同僚(なのでもちろん同じ状況)の山中氏、無論会社を早退して来た僕、そして僕の妻、以上のメンバーで渋谷に集合しました。
そこから京王線で稲田堤に向かうわけですが、思いのほかスイスイッと、30分もかからずに着いてしまいました。
やはりあーだこーだと理由を付けてウダウダしてるより、さっさと行動することが大切ですねー。

牧歌的な雰囲気の京王稲田堤の駅を出て、多摩川方面に向かい、歩くこと6、7分。
前方に土手が見え始め、そこを抜けると、




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一気に開ける視界!



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今まさに営業中!



ってわけで、もうすでに最高ですよね。
なんか、この絵を見てもらえればみなまで言わずともって感じで。

はやる気持ちを抑えつつ入店しましょう。

入り口を入ると右側に調理場。




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このままドラマのセットに使えそう



それから席の方はこんな感じです。




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広々〜



テーブル席に小上がり数席、外にもベンチ席がたっぷりあって、かなりの人数を収容出来そうな規模ですが、流石に平日の昼間、先客はいらっしゃいませんね。




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猫ちゃん以外は



優しそうな女将さんに「どこでも自由にどうぞ」と言ってもらい、どの席も座ってみたすぎるので迷いに迷い、結局…




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一番奥の特等席っぽい所を選ばせてもらいました!



「ここは我々のような若輩者が座っていい席なのか?」という一抹の不安もありましたが、まー店内誰もいないしね!




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で、まずは生ビール!(500円)



眼前に滔々と流れる多摩川の水が冷ましてくれた空気が店内を吹き抜け、目に入るのは川!空!土!
こんなシチュエーションで飲むキンキンに冷えた生ビールのうまいことくらいみなさんご存知でしょうが、とりあえず個人的にも、ここ数年で一番うまかった生記録を更新しました。

メニューはお酒もおつまみも充実していて、よくある公園の休憩処というよりは居酒屋に近いですね。
酒飲みのツボを心得たラインナップに期待が高まります。

さて注文を女将さんに伝えようと調理場まで行きますと、明らかにヤバめなブツが目に入りました。




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こ、これ下さい!



いや実際は「すいません、これは何を作ってるんですか?」と聞いてみたんですが、メニューにあるものではなく、今から夏野菜を煮込んでカレー味に味付けるんだそうです。
「完成したら頼んでもいいですか?」「もちろん!」ということでこちらはしばしおあずけ。
適度にレギュラーメニューを注文して席に戻ります。

しばらくすると「常連さんが差し入れてくれたんだけどよかったら」と、こんなものを頂いてしまいました!




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茹でた大豆!シブい!



これがまた、ちょうどいい醤油加減と濃い豆の味で最高にうまい!

見ると常連さんらしき方々がチラホラと来店し始めていますね。
みなさん思い思いの席で気持ち良さそうに飲んでます。
こちらを差し入れて下さったご老人に挨拶にいくと「俺は酒飲みだからつまみに豆腐を自分で作るんだけど、今回はうまそうだから茹でちゃった」とのこと。
エピソードも最高!




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牛もつ煮込み(450円)



正直なところ、実際来るまで、料理の味にはさほど期待してなかったんですよ。
たぬきやの魅力は雰囲気の良さなんだろうと。

とんでもなかった!
大きめのモツがゴロゴロ入って煮くずれることもなく、だけどしっかりと味も絡んでたまらなくうまい!
ここで「あれ?たぬきや、料理めちゃくちゃうまくね?」と気付かされた次第です。




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焼きそば 大盛(500円)



これまたヤバい!
なんだろう、なんなの?このうまさ!
強いて分析すれば油をたっぷりと使って所々カリッとするくらいに焼かれた麺の香ばしさ。
そしてたっぷりの具と紅ショウガのハーモニー。
しかしながらそれだけじゃない奥深さすら感じる焼きそばでした。




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手前から、砂肝、レバー、かしら、とり軟骨



こちらは塩で。




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とり正肉、白モツ、つくね、とり皮



こちらはタレですね。

各1本100円です。

これまたそんじょそこらの焼鳥、焼きとんではない!
臭みの全くないシロに、カリッと焼き上げられたなんこつ、レバーなんか外はサクッ、中はトロッで名人級です!
どう見ても店員さんは女将さん1人しかいらっしゃらないようなんですが、素朴で素敵なお母さん風の佇まいで油断させておいて、凄腕なんですねー。





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うまそうな匂いに釣られたか?



看板猫ちゃんは自由気ままに店内を徘徊しており、我々のテーブルにもやって来てくれました。
サービス満点!
しかしこういうお店って本当に猫が似合いますよね。





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本気を感じるホッピーセット(400円)



氷が入っているとは言え、焼酎ラインの目安となる★マークを完全に無視したナカの量
たまりません!




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みんなに大好評だったトマトサワー(350円)



目が覚めるようなビビッドな赤の液体がなみなみと!
いかにも健康になれそうなビジュアルですね。
まぁ、酒なんだけど。

それから店内で売ってるこんなものだって頂けます。




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カール(値段忘れ たぶん定価)



別にいつでも食べられるけど、こういうとこにあるとつい手が出てしまうんですよね。
居酒屋では味わえないちょっとした違和感を楽しみたいというか。
あと、カールうまいし。

お、ここでアレがやって来ました!




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夏野菜のカレー煮(値段忘れ)



うおー!ヤバイ!っていうかこれ、カレーそのものですねw
先ほど見た夏野菜がゴロゴロ、さらに鶏肉まで入ってます!
いわゆる家庭的な味のカレーで、もう僕の一番の大好物です!

そうなって来るとメニューにある普通のカレーライスはどんなもんなんだ?という疑問が湧きますが、カレーばっかになってもと思って今回は頼まなかったので、次回確認して来ます!




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おでん(450円)



あぁもう、しみじみとうまいですねー。
これは秋〜冬にかけて食べるとさらにヤバそうだなぁ。

そうこうしていると日が傾きかけてきましたよ。




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なんも言えねー!



なんなんでしょうかこの天国のような光景は。




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かつてここまで神々しいコダマサワーのグラスがあったか!?



僕にとっていい居酒屋の決め手って、味と値段、同じくらい重要な接客、次いで雰囲気ってな感じなんですね。
で、たぬきやは味値段接客は全てパーフェクト、そこに加えて圧倒的な雰囲気、シチュエーションの良さがあり、その破壊力がとにかくすさまじい!

「最高だなぁ」「最高だねぇ」なんてただ延々と繰り返しているだけで本当に最高の気分
目の前に、どでかい川と空があるだけでこんなにも幸福度が増すもんでしょうか。
刻一刻と趣を変える水面を見ていると、本当にここが涅槃で目の前の川が三途の川のように思えて来ます。




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そりゃあたそがれもしますわ



さらに時間は経過して、夜の風情も素晴らしい。
外から見ると、まるでドリフかなんかのセットのようですね。




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何も起こらないけど延々と見てられる舞台



この日普段と比べてそんなにたくさん飲んだわけじゃないんですけど、たぬきやの魅力にやられすぎた我々、とにかくもうず〜っと居ちゃったんすよね。




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あたりは真っ暗闇



それでも嫌な顔ひとつせず、温かくも適度な距離をおいて我々を受け入れてくれたたぬきや。
あぁ、たぬきや。

こんなお店が家の近所にあったら、いやむしろ、ここが実家だったら、そんな気持ちにさえさせてくれる、本当に素敵すぎる名店でした。


そして十分すぎるほどたぬきやを堪能した我々は、お話をさせてもらった常連さん(確かたぬきやの建物を作った人と言ってた気がする)に勧めて頂き、稲田堤のとある酒場へ。
一見では絶対入らない、というよりまず気付かないような隠れ家的な楽しいお店で、マスターに「君たち、よくここにたどり着いたね」とRPGにでも出て来そうなセリフを頂いてここでも大満足。




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急にシブい雰囲気!



いやぁ本当に、全ての価値観を覆されるような不思議で素晴らしい1日でした。


っというわけでいつにも増して長くなりましたが、お付き合い頂いた皆様ありがとうございました!
また次回ー!





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帰り道、命ある物に限らず全てを愛で包み込むナオさん




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たぬきや 稲田堤 - 稲田堤/居酒屋 [食べログ]




告知








posted by パリッコ at 12:45 | Comment(0) | 第51回〜第75回
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