大衆酒場ベスト1000

2012年11月07日

第69回「ワセダ菜館(早稲田)/日替定食 B」

パリッコの「大衆酒場ベスト1000」が本になりました!

今回はまずお知らせから。

上に書いた通り、この連載がついに書籍化されることになりました!!!




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バーン!



…というと、たいそうすごいことみたいに思われるかもしれませんが、何のことはない、自分で印刷屋さんにお願いして作っただけです。
自費出版というやつですね。
部数もそんなにあっても仕方なさそうなので、100部限定(それでも持て余しそうですが)。

内容の方は、この連載の第1回〜11回までを加筆修正しまして、縦書きにレイアウト変更して収録。




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駄文が多少立派に見える!



そんでもって、この連載の初期の頃って、文章自体のボリュームもそうですが、写真も今よりだんぜん少なかったんですよね。
基本的に1記事に1枚だったりして。
けどやっぱり写真がたくさんあった方が見ていて楽しいだろうということで、パソコンの中をひっくり返してデータを探し、各お店の料理などの写真を大幅追加しました!

さらにさらに!ここだけは本当の目玉と言えます。
書籍化特別企画としまして、連載「早く老人になりたい」がインターネットの話題を総ざらいしている、スズキナオ(チミドロ)氏をゲストにお迎えした酒場対談を集録!




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これはそのほんの一部



肝心の“大衆酒場”の話題にすらなかなか辿り着かない、しみったれ飲酒術と老人の魅力について大いに語らせてもらった、他では絶対に読めない内容となっています!

こちらの本は、まず11/10(土)11(日)の日程で行われる「古本ゲリラ」というイベントで手売りします。
残ったら通販やお店への委託など、どうやってみなさまに引き取ってもらえるかを考えようと思っています。

詳細はこちらのページで更新していきますので、よろしければチェックしてみて下さい!





では本題、久々に“定食屋”飲みのお話です

僕は池袋という街で働いているんですが、その近くを都内唯一のチンチン電車「都電荒川線」が通っています。
この都電、大好きなんですよね。

車両や駅にも風情があるし、一般の道路に出て車と並走する景色もなんだか珍しくて楽しいです。
料金は先払いでどこまで乗っても160円
出発する時は本当に“チンチン!”なんてベルが鳴るし、他の交通手段にはない味わい深さがあります。

なので、目的地付近まで都電で行けそうな時は、普通の電車とかより多少不便でも都電で行ったりします。

「早稲田」なんか典型的で、都電荒川線の西の終点が早稲田駅なんですが、ここからいわゆる都営地下鉄の早稲田駅までの距離って、徒歩で5〜10分くらいあるんすよね。
一般的にみんなが指す“早稲田”とはちょっと離れてる。
けど僕は、早稲田に行く用事でも出来ようもんなら「やったぞ、乗れる!」などと喜び勇んで都電に乗り込むわけです。

都電を降りてからの徒歩移動もまた楽しいんですよね。
元々街をプラプラ歩くのが好きなもんで。

早稲田大学の敷地に挟まれた、関係者しかいなさそうなルートの非日常感もいいし、その周囲の商店街のいかにも学生御用達っぽい喫茶店や定食屋さんなんかも、見てると想像がふくらんで楽しいです。

また、新目白通りからまっすぐ南下して、大通りである早稲田通り添いを歩くのもまたいい。
昭和の時代から時が止まってそうないい〜佇まいの中華屋や定食屋っぽいお店がチラホラありますね。
どこも入ってみたいな〜なんて思いながら歩いていると、“ベスト・オブ・佇まい!”とでも言いたくなるようなお店を発見しましたよ。




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ワセダ菜館



レトロながらもきれいに掃除された食品サンプルメニューを見ると、中華屋さんっぽい店名ながら和洋中なんでもある、街の定食屋さんみたいですね。
時刻はだいたい19時で、次の用事までは小一時間、今夜の夕ご飯兼晩酌はここにしてみますか。




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いざ入店!



店内はもう、ごく一般的〜な大衆食堂で、心底落ち着きます。
全部埋まって2、30人ってとこでしょうか。
常連さんらしき1人客のサラリーマンやご老人に加え、若い女性だけのグループなんかもいて、時間が時間だけにけっこう賑わってますね。
どう考えても地元の方々に愛されてるお店なんだろうな、という状況を目にして「ここ、もういい店だ」と確信。

優しい笑顔で「いらっしゃいませ」と出迎えてくれたお母さん、奥の厨房には多分その息子さん。
お2人で営業されているようです。


何はともあれ飲み物のメニューを確認しましょう。

ビール 中ビン(420円)清酒(315円)コカコーラ(150円)、以上。
潔いラインナップですね。

ビールを頂きます。




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ワーイ、えだ豆付きだ!



これをチビチビとやりながらメニューを検討していきましょう。
どれもまーお手頃ですわ。

例えばどうしても目が行ってしまう「カツカレー」「チキンカツカレー」「ハンバーグカレー」の3大カレーが各630円
お手頃なとこだと「肉じゃが&きんぴら定食」が500円とか、「コロッケ定食」550円
「えびフライ&メンチカツ定食」なんてとんでもないごちそうも、750円なら手が届きます。

他にもおでん定食があったり、焼き魚系とか、焼肉しょうが焼きオムレツ丼ものなど、当分は通い詰めても飽きないであろう魅惑のラインナップです。

さらに単品で「玉子」「焼のり」の60円をはじめ、おひたしやポテサラ、目玉焼などのサイドメニューも豊富。
組み合わせれば天文学的数字になるでしょうね。

で、この天文学的な中から自分の注文を決めないといけないわけですが、初めての入店でもありますし、ここは日替り行っとくべきかな、と。




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右上に日替りメニュー



真新しい紙の色で、ここだけはきちんと毎日張り替えられているようです。

AとB2パターンありまして、内容を吟味した結果、“B”に決定しました!

で、やって来たのがこれ!




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ドン!



うわ、完全にしくじった〜!

というのも、話を少し戻しまして、日替定食AとBの内容を再度確認してみましょう。

日替定食 A・イカフライ&メンチカツ と ウインナー(630円)
日替定食 B・チキンカツ&ホタテクリームコロッケ と ハム(630円)

僕この日、最初に字面を見た時点で無性〜に“メンチカツ”が食べたかったんですよね…。
なのにメンチカツが入ってない“B”を頼んでしまった…!

いやね、あまりに脳が“メンチカツモード”になりすぎて、Bの“チキンカツ”がメンチカツに見えちゃったんです…。
“チ・キ・ン・カツ”と“メ・ン・チ・カツ”、構成している文字をバラすと、“キ”と“メ”の違いしかないなんて!詐欺!トリック!
ウインナーとハムだったらウインナーの方が断然良かったけど、イカフライとホタテクリームを比べた結果Bを選んだのに!

とか言っててもしょうがないし、全部自分のせいなので、頭をチキンカツモード切り替えて頂くことにしましょう。

まずは戒めの意味も込めて、憎きチキンカツからいってみることにします。




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頼んでもねぇのに存在感発揮しやがって…



一切れつまんで口に運ぶと、サクッと心地良い歯応えと共に広がる、香ばしい脂と肉の香り。
そんでま〜このチキン……やわらけぇ〜!!!

うまい!めちゃくちゃうまいです。
こういう大衆食堂の揚げ物系メニューがまずいなんて聞いたことないんですが、それにしてもこのチキンカツ、かなりのクオリティです!

ムネ肉なのかな〜?余分な脂っぽさは一切感じないけど、食感はフワッフワでモモ肉をさらに柔らかくしたような感じ。
そして絶妙にも程がある揚げ加減。

チキンカツうまい〜!頼んでよかったぁ〜!
と、数分前のことはすでに無かったことにして、バカのツラで感動です。
ここのシェフ、ただ者じゃないっすね!


ここからは一気にピークタイムへ突入!

ちなみに全容は、大盛りのご飯と、もやしとワカメのみそ汁。
漬物はキューリのキューちゃん的なあの、酒もご飯も進むやつです。
それから大量のキャベツの千切り、これはソースかけちゃえば立派な一品おつまみですよね。
さらに嬉しいハム2枚と、単品メニューにもあるスパゲッティサラダも添えられてます。
このスパゲッティサラダがまたいい!
オイリーで塩味濃いめの、これまたライスにも合っちゃう頼もしい存在!

定食屋飲みのいいところって、このバラエティの豊かさだと思うんです。
居酒屋のメニューって、おしんこならおしんこ、サラダならサラダ、チキンカツならチキンカツ、カツだったらキャベツの千切り少々くらいは付いてくるかも知れませんが、とにかくシンプルなもんじゃないですか。
ところが定食というのは栄養のバランスも考えられた様々な素材と味が一度に楽しめる。

“ご飯とおかず”という捉え方を一度外して“全部つまみ”という見方をしてみると、630円でこんな贅沢なラインナップは定食屋ならではですよね。

たっぷりめにソースをかけたチキンカツ、トロットロのクリームの中に貝特有の身体に良さそうな旨味が詰まったホタテクリームコロッケ、これと白米のハーモニー。
「日本人で良かった!」と叫びたくなりますが、お店の迷惑になりますので、代わりに流し込むビール!最高!
このループを最後まで楽しむのもいいんですが、ここで新たなるマジックを投入です。




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そう、玉子(60円)



皆さんは、おかず×たまごかけご飯って“アリ派”ですか?“ナシ派”ですか?
僕は断然、アリ派です。

おかずは白米で食ってこそ、玉子なんて邪道!って方もいらっしゃると思いますが、僕はこの、しっかりと味の濃いおかずに対して、たまごかけご飯で応じてしまう“背徳感”というんでしょうか、ここにロマンを感じてしまう質なんですよね。
「うわ〜今この玉子なくてもいいのに、贅沢しちゃってる〜!」っていう。

…相当にしみったれた話ですので「どうでもいいよ!」って方は本当、申し訳ありません。

でまたね、さっき「全てがつまみになる」なんて言いましたけど、さすがに白米オンリーでは、僕もお酒進まないですよ。
しかしどうですか?たまごかけご飯。
これならば何杯でも飲める、完全なるつまみに進化してるじゃないですか!

っつーわけでボリュームたっぷりのお料理たちに応じるように、清酒を追加。




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清酒(315円)



心地の良い満腹感とほろ酔い加減、最高の気分でお店を後にした次第です。
ありがとう、ワセダ菜館、また来ます。


さらに外出て気付いたんですけどここ、3軒隣に銭湯があるじゃないっすか!
このシチュエーションはヤバい!
あいにくこの日はお休みだったんですが、今度はひとっ風呂浴びてからのワセダ菜館を堪能したいな〜なんて思いました。
もしくはその逆もいいな〜!


ではまた!





より大きな地図で パリッコの「大衆酒場ベスト1000」 を表示

ワセダ菜館 ワセダサイカン - 早稲田/定食・食堂 [食べログ]




告知














posted by パリッコ at 10:17 | Comment(0) | 第51回〜第75回
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