大塚の怪しい裏通りで驚異の190円おつまみを堪能!
この連載を始め、音楽だ漫画だと色々手を出しすぎているので、僕のことを「一体お前は何者なんだ!?」と思われている方も多いと思います。
しかしひとまず僕は自由業や自由人といった人種ではなく、普段平日は朝から夕方まで会社で働いてます。
ですから、酒飲みの至福である“明るいうちから1杯”なんてのは基本的には憧れであって、あんまり出来ないわけです。
ただしそんな僕が、2ヶ月に1回だけ、平日の昼間っから禁断のお酒を頂いてもいいと勝手に自分に許可しているスペシャルデイがあるんですよね。
それが“校了日”。
普段、編集者っぽいような仕事をしておりまして、2ヶ月に1回大きな締め切りが来るのが常なんです。
入校日が近付くに連れて仕事量がガンガンに増えていき、またそれに連れて朝方の生活にシフトしていくっていうのが自分に合った方法のようで、締切の2週間くらい前からは7時起き→6時起き→5時起き→4時起きと、日を追うごとに起床が早まっていきます。
で、毎度のことながら「次こそは計画的に進めよう!」とどんなに誓おうとも、入校前の数日間はわずかな睡眠時間と食事以外はずっと泣きながら仕事をしているという状況になりまして、もうそういうもんだと諦めている次第です。
しかし辛いことの後には幸せが待っている!
それが“入稿が終わった日、つまり校了日だけは昼時に酒飲んでもいい”という、自分に対するご褒美なんですね。
じゃあ前回はなんなんだ!って感じもしますが、あれもあれでまぁ特別だったということでw
ともかく、これはとあるそんな日のことだったかな。
ついに入稿を終え、それまで目の前にうず高く積み上げられていた仕事もきれいさっぱり無くなって非常に清々しい気分。
加えてその日は朝の4時くらいに起きてからず〜っと、ただ黙々と仕事を続けて来たわけで、身体的にはもう夜と言ってもおかしくない状態。
「よし、もう今日は終了!」と叫んで事務所を飛び出しました。
どこで祝杯を挙げてやろうか?何しろ僕の働く池袋って街は誘惑が多いですからね。
以前にご紹介した「大都会」も「まつしま」も24時間営業の居酒屋さんですし、他にも朝から昼から様々な飲食店が、あの手この手でお酒を提供しています。
時計を見ると14時ちょっと前。
ここでふと、あるお店の存在を思い出しました。
あそこ、確か14時オープンだったよな…。
場所は大怩セっけ、池袋からは1駅あるけど時間的にもバッチリだし、よし行くか!
と、山手線に乗り込みましてお隣の大怩ノ向かいます。
TVだか雑誌だかで何回か見て、いつか行ってみたいなぁと思っていた、お昼から営業している立ち飲み屋さんがあるらしいんですよね。
ところでこの「大怐vというのがまた魅力的な街でして、「串駒」「江戸一」「きたやま」「こなから」という、なんと“大怩フ四天王”と呼ばれる居酒屋が存在するくらいその手のシーンが発展してたりします。
四天王、なんだかジャンプ漫画みたいでワクワクしますよね。
僕はその中ではまだ「きたやま」さんにしか行ったことないんですが、さすが四天王たる実力、うますぎる酒と肴に見事にノックアウトされた記憶があります。
もちろん他にも無数の居酒屋、飲食店が存在し、北口へ足を向けるとその間々にピンク系のお店も多数混ざりまして、その猥雑なパワーは都内屈指と言えるのではないでしょうか。
駅前を都電荒川線が走っているのもまた独特の景観を生み出しています。
JRのホームと交差する都電の駅なんて、かなり珍しいですよね。

巨大な駅ビル建設中で、しばらくすると景色も変わるのかな
さて、今回の目的地ですが、「立ち飲みコーナー 大つか」さんと言います。
ここが大怩フ中でも北口のさらに裏、かな〜り怪しい立地。

なんでこんなとこに!
道々場所は確認して来ましたので、そそくさとお店へ直行。
時間は14時をちょっと回ったところでしたが、ちゃんと開いてますね。
よかった〜。
さっそくお邪魔します。

しっぶい!
清潔感もあり、コンパクトでめちゃくちゃ落ち着く店内です。
席はカウンターのみで定員20人弱って感じでしょうか。
時間が時間だけに、僕が口開け客のようですね。
適当に好きな位置に陣取ると、店員のお姉さんがカウンターに積んである木皿を1つ、スッと目の前に差し出してくれました。
あ、これはあれだな、きっと。

キャッシュオン用トレイ
何かを頼むと提供と同時にここからお金を取り、お釣りを戻してくれるシステムです。
よっ、明朗会計!
ではでは、いよいよ祝杯の時が迫って来ました。
まずはそうだな、ホッピーからいっちゃいましょうか!

おつかれ〜!!!
いや〜、幸せ。
この1杯のために2ヶ月仕事して来たんだよなぁ〜、って味。
最高です!
あ、ちなみにこの写真は2杯目のおかわりのナカを頼んだ時の状態ですね。
ホッピーセットは350円、追加のナカは220円。
以上で、でっかいジョッキちょうど2杯分いけました。
フワフワ〜!
あらためて店内を見回します。
目の前の壁に黒地の短冊×白文字のメニューが並んでいるんですが、これがビックリ!なんとおつまみは“全品190円”!
冷やっこ、湯やっこ、なっとう、しらすおろし、ロースハム、もろきゅう…なんて、やっぱり軽めのものが多いですね。
なにしろ190円ですから。
しかしお昼がまだなんで、何かガツンとしたものも頂きたい気分なんだけどなぁ…
と思いきや、その横のホワイトボードにも日替りのメニューが並んでますよ。

どれどれ
もちろんこちらも全品190円。
全て書き出すと、もつ煮込み、ぬか漬、玉子どうふ、ごまどうふ、ししゃも焼、サバ焼。
おぉ!そそられる!こっから選ぶのが良さそうですね〜。
「すいません、もつ煮込みとサバ焼をお願いします。」
ほぼ待ち時間なしで、すでにじっくりと煮込まれたこいつが到着しました。

もつ煮込み(190円)
おおー!とても190円とは思えない頼もしいルックス!
味はオーソドックスな味噌ベースで、しっかりとしたモツも大根もゴロゴロ。
モツと全く同じ色になるまで煮込まれ汁が染み込んだ大根もたまんないっす。
そこにフレッシュ感を演出するネギでしょ。
いや〜完璧、もう煮込みのお手本と言ってもいい煮込みですよ。

サバ焼(190円)
そしてこちらはきちんと時間をかけ、グリルで焼いて出して頂いたサバ!
なんと半身が丸々!
これまたとても190円とは思えない1品です。
一口かじるとこれがもう、ジューシーかつふっわふわ!
焼加減もまじ絶妙で、カリッと焼かれた皮ごと食べると香ばしさと魚の旨味が口中に広がります!
いや〜、気合入ってるな〜この店。
もし自分が後輩だったら全面的に付き従って、全ての命令を文句も言わずに聞いてしまいそうなくらい超気合入ってます。
かっこいい!
ところで先ほどの煮込みにはホッピーがベストマッチだったんですが、この鯖のジューシーさには、なにかもう少しフレッシュな味わいで対抗したい気分です。
こちらを頂きましょう。

酎ハイ(240円)
うんうん、バッチリだ。
鯖の脂分がチューハイの一口できれいサッパリ洗い流されていきます。
このループは正解だなー。
しかもなんですが、テーブルにはこのように

フリーライム
が設置されており、ちょっと風味を足したいと思ったら手元のチューハイに投入することも出来ます。
僕も試しにたらしてみたんですが、かなりケミカルかつ強烈なライム感なので、使われる方はほんの数滴にとどめておくのがいいかもしれませんよ。
さて、ここまでで滞在時間は2〜30分てとこでしょうか。
その間、焼酎のお湯割りを1杯と、なんと玉子豆腐を2つも平らげてさっと帰っていかれたおじいさまを見送りました。
ふと目を上げると、カウンター上に先ほどまでなかったお惣菜が並び始めてるじゃないっすか!

え、こ、これなに!?
僕は来るのが早過ぎたんでしょう。
お店のお姉さん、ずっと忙しそうに働かれてると思ったら、その場でもその日出すものを色々と仕込まれていたんですね。
と考えると、夕方頃にはもっと色とりどりのお惣菜がカウンター上に並ぶのかもしれません。
ここは勇気を出して聞いてみましょう。
「あの…、そこのお料理ってもう頼めますか?」
「大丈夫ですよ!」
というわけで、はい!

あ〜、うめぇうめぇ!
まず出来立てなので温ったかいのが嬉しい。
歯を入れるとじゅわっと優しいお出汁が染み出して来ます。
また、190円という値段設定に合わせてでしょう。
けっこう大ぶりのがんもなんですが、これが3つもお皿に乗っています。
こんなに連続でがんもばっかり食ったのは初めてかもしれませんが、好きなので問題なし。
いやぁ本当に、驚異的なまでに満足度の高いお店でした、立ち飲みコーナー大つか。
立ち飲みコーナーの“コーナー”っていう不思議な響きとか、大塚じゃなくて“大つか”なところも、理由はないんですけどなんかいいっすよね。
また次の校了日には行っちゃおうかな〜ってくらい素晴らしい酒場でした!
ってなわけで今回もこの辺で!
あ、最後に告知なんですが、来る1/19(土)に、連載「早く老人になりたい」でもお馴染みの鈴木ナオさん率いるバンド“チミドロ”などが中心となって開催されているパーティ「ゲットー酒場」と、僕が所属するダンスミュージックレーベル「LBT」が共同で新年会を開催します!
会場はこちらの記事もご紹介した「綱島温泉 東京園」!
もちろんどなたでも参加可能ですので、こちらの詳細ページをご覧の上、どしどしご参加下さい〜!
よろしくお願いいたします。
より大きな地図で パリッコの「大衆酒場ベスト1000」 を表示
立飲みコーナー大つか - 大塚/立ち飲み居酒屋・バー [食べログ]
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