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2013年07月18日

第88回「山羊料理 さかえ(那覇)/山羊さしみ」

パリッコの沖縄レポートその6〜初めての山羊(ヤギ)料理編〜

さて、2度目の沖縄シリーズもいよいよ最終回です。
これまでの歩みはこんな感じ。

1回目の旅行(2012年11月)
パリッコの沖縄レポートその1〜入門編〜「かいゆうてい/ソーキ炙り」
パリッコの沖縄レポートその2〜市場と鮮魚編〜「節子鮮魚店(那覇)/生ガキ」
パリッコの沖縄レポートその3〜やんばるアグー編〜「我那覇焼肉店(那覇)/山原豚ステーキ」
パリッコの沖縄レポートその4〜ディープ沖縄の入り口編〜「つかさ屋(那覇)/寿司」


2回目の旅行(2013年5月)
パリッコの沖縄レポートその5〜ついに発見!第二の実家編〜「ふく木(那覇)/ソーメンチャンプルー」
パリッコの沖縄レポートその6〜沖縄おでん編〜「おふくろ(那覇)/おでん」


豚肉や鮮魚、おでんなど、沖縄独自の食材、食べ物に色々と触れて来ましたが、今回は中でも上級編と言えるでしょう、“山羊料理”のレポートをお送りします。

山羊は沖縄では“ヒージャー”と呼ばれ、祝いの席などには欠かせない食材だそうです。
滋養強壮に絶大な効果があり、薬として食べるという意味合いもあるほど、体に良いそうです。
一方で独特のクセ、臭みがあり、好きな人は「何よりも好き!」嫌いな人は「絶対無理!」ってなシロモノらしく、そう聞くと思わず二の足を踏んでしまいますよね。

しかしここまで全てにおいて我々を楽しませ、感動させてくれた“沖縄”。
その伝統食材である山羊を食べずして、その懐に飛び込んだと言えるのか!
と、大げさに言っちゃいましたが、要は「一度は味わってみたい!」という興味本位、怖いもの見たさもあって、ついに今回山羊料理に挑戦してみることにしました。

で、結果から言うと、僕は大好きでしたね。
だって滞在中に、2軒も山羊料理のお店に行っちゃいましたし。

今回メインでご紹介するのは「山羊料理 さかえ」さんとなっていますが、どちらも素晴らしかったその2店について触れられたらと思っています。


ではでは。
まずご紹介したいのが、滞在4日目に夫婦でお邪魔した「山羊料理 山海」さんです。

ここは元々下調べで見つけた店ではなく、宿の近所を散歩していた時にふと目にとまり、その外観にビビビと来て予約をし、行ってみたお店です。

その外観というのがこれなんですが、




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山羊料理 山海



どうです?もうバッチリでしょ?

旅行の後半は特に、あまり行くお店などは決めておかないで、その時の気分で行動するようにしていたので、早速電話でオープン時間の17:30に予約を取り、伺うことにしました。
「ずいぶん山羊に対して迷いのない行動を取るな!」と関心されるかもしれませんが、なんのことはない、順序が前後するんですがこの前々日、すでに山羊料理はバッチリ克服してるんですよね。
なので、そこにあるのは期待だけ。

お店に入ると、オープン直後ということで先客はおらず、のんびりとした空気が流れています。
入り口正面に調理場、その前にカウンターが数席、そしてカウンターを取り巻くように小上がりの座敷が設計されていて、テーブルが数席。

で、入店してほんとうにすぐなんですが、僕はもう一発でこのお店の虜になってしまいました。
というのも、おおよその仕込みはもっと早い段階で終えられていたのでしょう、山海の大将と女将さん、座敷の一卓でゆったりとテレビを見ながら、大将が三線をつま弾き、女将さんがそれに聴き入っています。

もうね、その絵があまりにも素敵過ぎた!

思い出すだけで心が満たされてゆくような、なんとも心が和らぐ空間でしたね〜。
むしろ僕たちが入店することによって、その空気を壊したくないくらい。
しかしそうも言っていられないので、「先ほど電話した者です」とお伝えすると、優しい笑顔で出迎えて下さり、




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大将は三線を置いて、



お2人は厨房へ。




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お仕事などさせてしまって面目ないです…



様々なポスターや装飾品、それから飴色に変色した有名人の色紙などが、古い店内と相まって素晴らしい空間を演出しています。
平成9年に書かれた佐野史郎さんのサイン色紙の下にもう1枚“さのやくも”と、あきらかにお子さんが真似して描きたがったんだろうなって色紙をきちんと飾ってあるのも、ご夫婦の人柄を表しているようです。

※これ、個人情報になっちゃうかとも思ったんですが、佐野史郎さんのWikipediaに“一人娘に「八雲」と名づけるほどの八雲ファンである。”ってあるからいいですよね。

1杯目はやっぱりオリオンビール生(500円)を頂きます。
こちらは定番のチャンプルー料理や魚料理、沖縄そばなど、幅広いメニューが揃っているんですが、今日はやっぱり“山海ならでは系”狙い。

山羊料理
山羊セット やぎ汁/サシミ/チーイリチャー(2,500円)
山羊汁(1,200円)
山羊サシミ(1,000円)
山羊チーイリチャー(1,000円)
山羊そば(800円)

の中から、山羊汁を頂いてみました。




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山羊汁(1,200円)



フーチバー(よもぎ)と生姜で臭みを抑えるのは山羊汁定番の調理法。
山羊の肉や様々なモツ類がゴロゴロと入り、なかなかインパクトのあるビジュアルですね。
特にすごいのがレバーに見える部位、チーイリチャーにも入る“山羊の血を固めたもの”らしいんですが、怖々口に運ぶと、うん、レバーと言われれば何の疑いもなく信じてしまいそうな食感と味。
苦手な人は苦手でしょうが、全体的に臭みは抑えられていて、複雑な滋味を感じる独特の1品です。
一度食べ出してしまうと止まらない、クセになる味ですねー。

ちなみにこちらでは他に、




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泡盛(500円)



をゆっくりと2合。
独特の酒器“カラカラ”(多良川と書いてあるやつね)から注ぐ泡盛、趣があっていいなぁ。

それから見た目のインパクトだけなら山羊汁以上の、




0718_06.jpg
白イカすみ汁(1,000円)



を頂きました。

写真ではただの真っ黒い汁ですが、中にはイカの身とニガナがどっさり入っており、味はイカスミのコクが加わった味噌汁といった感じ。
相変わらず苦いニガナもいいアクセントになります。

これもまた薬としても食べるようなものらしく、ネット上には「疲れていた胃腸と口内の荒れが食べて数時間で治った」なんてレビューもあったほど。
僕の場合その情報によるプラシーボ効果の方が大きいような気もするんですが、今年発症した紫外線アレルギー(この時点では原因不明で予防をしてなかった)による肌の荒れ、痒みが、実際数時間後にはグッと落ち着いてしまいました。
恐るべし沖縄料理!

ちなみにこれらを出して頂き、次に団体のお客さんが入って来られたまでの30分ほどの間、再び店内にはのんびり時間が訪れ、大将が三線でBEGINの「島人ぬ宝」なんかをゆったりと弾き、曲が終わると女将さんが「上手だった」なんて感想を言っていて、僕は理由なく込み上げてくる涙をこらえながら泡盛を飲んでいた次第です。

絶対また来たいお店が増えてしまったな。
ごちそうさまでした。


さて、日付は2日目に戻って、経緯については沖縄レポートその5、6あたりをお読み頂ければと思うんですが、チミドロのスズキナオさんたちを交えて計5名のワイワイメンバーで伺ったお店の紹介に移りましょう!

やって来たのは国際通りの横道“竜宮通り社交街”にある、さかえというお店。

ここがまた、さっきの山海とは別ベクトルの、テンションと満足度の高い、すごいお店だったんだよな〜。




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山羊料理 さかえ



お店を仕切る女将さん自身が名物の1つでもあるらしいのですが、我々は時間が早かったこともあり、帰る時に入れ違いでいらっしゃって、出来たのはご挨拶のみ。
たったそれだけでも人の良さとサービス精神を感じられるような、魅力的な方でした。

しかしそれでは我々を接客してくれたのは?というと、そのお母様(おばあ様?)!

「この時間はおばあちゃん1人なのよ〜。ウチはこういう店だから、ごめんなさいね〜。」
ってな具合で、温かく、かつ愛くるしすぎるキャラクターに、これまた一発でノックアウトですよ。
山海が“静”の魅力なら、さかえは“動”の魅力。

入り口横の座敷へと通して頂きました。




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ちょっと今準備するからね〜



これまた古い建物で、カウンター席の他は全て




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こんな感じの個室



になっており、どこかの民家にお邪魔して飲ませてもらってるような感覚。




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琉球グラス



を選ぶ瞬間からエンターテイメントがスタート!

泡盛は種類も豊富で、1合6〜700円(瑞泉の古酒のみ1,200円)

山羊料理のラインナップはこんな感じです。

山羊いため(1,500円)
山羊さしみ(1,300円)
山羊玉ちゃん(1,000円)
山羊汁(1,300円)
山羊フーチバーじゅうしい(900円)

山羊には全て“県産”の表記。

「玉ちゃんってなんだろう?わかんなけどカワイイから頼んじゃえ〜!」
なんて軽々しく頼むと、金玉の刺身なので注意が必要です。

※ちなみにこの日は無かった

“じゅうしい”ってのは、沖縄で言う炊き込み御飯みたいなもんですね。

他に何品かの一般的な沖縄料理メニューもありますが、ここでも山羊に絞って、山羊さしみと山羊いためを注文。

いよいよ魅惑の“さかえタイム”本番が始まります。

しばらくするとまず、




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大根とにんじんの醤油がけ



がやって来ました。
「あれ?頼んでないよ!」とお思いでしょう。
サービス品です。

またしばらくすると、




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島豆腐



がやって来ました。
「あれ?頼んでないよ!」とお思いでしょう。
サービス品です。

またしばらくすると、




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ゆで豚



がやって来ました。
「あれ?頼んでないよ!」とお思いでしょう。
サービス品です。

もうお気付きですね?
そう、ここ、究極のサービス過剰店なんです!

お店に居続ける限り永遠にサービス品が出てくる、他に何か頼まないとこちらが良心の呵責に押しつぶされる、沖縄でも屈指のサービスを誇るお店なんですね。

1皿ごとにお母さんが「はい、これはサービスで〜す!」と持って来て下さるんですが、それが申し訳なくなるくらいの頻度。
なので「あの、もしまた何かある場合は、言って下さればこちらから取りに伺いますんで」と提案すると、「そうですか?ありがとうね」なんて言いつつ、何分かすると「はい、これはサービスで〜す!」とお座敷に登場。
コントか!ってなもんですが、その時間、空間、全てが本当に最高なんですよ!

そうこうしているといよいよメインが登場。
山羊刺しです!




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山羊さしみ(1,300円)



先ほどの山海よりこちらのさかえの方が先に来たお店なので、これが沖縄初、いや、人生初の山羊刺しとのご対面なわけですが、




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美しい



素直にうまそうです。
この艶やかさを前にすると、怖がっていた感覚はどこかへ行ってしまい、早く食べてみたい気持ちでいっぱいになります。

生姜醤油に浸けて頂きますが…、おぉ〜、これはうまい!

臭みは皆無。
独特の風味はありますが、近いのはラムでしょうか。
あれが大丈夫な方ならまず何の問題もないでしょう。
肉は柔らかいんですが適度な歯応えもあり、少し残してある皮に近い部分にコリコリとした食感があります。
とにかく今まで出会ったことのない旨味が強いのと、いかにも体に良さそうな“気”とでもいうんでしょうか、それが充満しています。
全身が喜んでいる!

うまいというのは満場一致で、この量だと5人では物足りないくらいの絶品でした!
いや〜山羊、大丈夫だぁ〜。

で、さかえタイムは続き、




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大根とにんじんの酢の物





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ゴーヤーチャンプルー





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ハンダマと玉ねぎのサラダ





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スーチカー



など、サービスの品々が続々とテーブルに。

ハンダマってのは沖縄独特の野菜で、これまた苦味があるんですが体にとても良いそうです。
鮮やかな紫色がなかなかすごいですよね。
スーチカーはあれですね、さっき出してもらった豚肉、あれを塩漬けにしたもの。
僕の大好物。

これらがまた、全部絶品だから困っちゃうんだよなぁ…。
あ、いや、全然困らないか。

で、もう1つ頼んであった




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山羊いため(1,500円)



も到着しまして、これはもうグッと、刺身よりもさらに食べやすいですね。
とにかく味が力強く、うまい!

さて、時間の関係でここでお会計にしてもらったんですが、もっといればもっと色々出て来たことは想像に難くありません。

で、そのお会計なんですが、全員分あわせて「6,000円でいいで〜す!」とのことで、えっと…僕ら5人いて、泡盛もさんざん飲んだんですけど…。
しかも“いいで〜す”のニュアンスからするに、完全に計算アバウトですよね…。

帰りに大量の




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サーターアンダギー



のお土産まで頂き、なんというかもう、参りました!
降伏です!
居酒屋における降伏、すなわち、また行きます!

いや〜恐ろしい…けど、これが沖縄ってやつなんだよな…。
今回も最後までその底力に圧倒されっ放しな沖縄道中でした。

というわけで、長きに渡った沖縄レポート、これにて終了。
再訪したいお店も、開拓したいお店も、まだまだたっぷりと残っている魅惑のワンダーランド沖縄、また必ず行こうっと!





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山海 サンカイ - 旭橋/沖縄料理 [食べログ]





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山羊料理さかえ - 牧志/その他肉料理 [食べログ]




告知

2013年9月1日(日)
LBTプレゼンツ「バック・トゥ・ザ・サマー」
池袋 knot

開催時間 / 17:30
当日料金 / 2,000円(2ドリンク)
フライヤー画像ありの料金 / 1,500円(1ドリンク)

Live /
 HONDALADY
 nakayoshi group
 嫁入りランド
 鼓膜シュレッダー

DJ /
 Maesaka (BootyTune)
 showgunn
 hara (from HyperJuice)
 Kenji Maeda
 DJイオ
 パリッコ



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クラブDJストーム単行本1巻発売!

クラブDJストーム(1)
¥800(税込)
A5判・計126ページ
2013年8月18日 COMITIAにて発売
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posted by パリッコ at 10:31 | Comment(0) | 第76回〜第100回
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