このあたりでもう一度“ホッピー”について考えてみないか?
この連載には当たり前のように登場する“ホッピー”という飲み物、僕はこいつが本当に大好きで、最近は居酒屋へ行くと「とりあえずビール」ではなく「とりあえずホッピー」なことも少なくありません。
ホッピー好きにとってのホッピーは、もはやビールの代替品ではなく「飲みたいから飲む」という、きちんと1つの飲み物として独立した存在なんですよね。
昨今の1000ベロブームなんかとも相まって、若い層への知名度も高まっており、まさかの

NEW ERAとのコラボキャップ
まで発売されるほど!
ただ一方で、「名前は聞いたことあるけど飲んだことない」「どうやって飲むのかわかんない」って方もいらっしゃるんじゃないでしょうか?
そこで、ここらでホッピーについてあらためて考え、再度ホッピーに対する想いを新たにし、ホッピーのさらなる発展をお祈り出来ればと思い立ったわけですが、どうでしょう?
どうでしょう?と聞かれてもなんとも言えないと思いますので、勝手に始めますね。
遡ること大正時代末期、その頃からすでに、高級品だったビールの代替品としてのノンアルコールビール“ノンビア”には需要があったそうです。
ただし当時のそれらは明らかに素材も技術力も不足したものでした。
その後色々とすったもんだがあって、コクカ飲料株式会社(現ホッピービバレッジ株式会社)が、終戦3年後の1948年に発売したのがそう、我らがホッピー!
創業者である石渡秀氏が「本物のノンビアを」の理想と共に開発したそれは、多くの庶民の支持を受け、さらには、まだまだ高級品だったビールの変わりにホッピーを焼酎で割る飲み方が自然発生的に生まれ、爆発的に広まっていったそうです。
ホッピーが元々はノンアルコールビールとして開発され、庶民のアイデアから酒と混ぜるのがスタンダードになったというのは意外でしたね。
ちなみに名前の由来も“本物のホップで作った本物のノンビア”を略すところから始まっていて、素直に略すと“ホッノン”になりそうですが、めちゃくちゃ言いづらいし、それ以前にホッノンなんて飲みたいと思わないですよね。
で、“ホッビー”。
これも若干言いづらいので“ホッピー”になったということらしいです。
元々は赤坂、現在は多摩に工場があるということで、流通は関東が中心。
消費エリアはなんと、東京、神奈川、埼玉で8割を占めるそうで、それ以外の方には馴染みが薄いかもしれませんが、それでもホッピーを扱うお店は全国的に増えていってると思われます。
現在はご存知の通り、ノンアルコールビールというよりは“割材”という認識の方が一般的でしょう。
要するに焼酎をホッピーで割ると、ビールに似たお酒の出来上がりというわけです。
なので、酒場では焼酎の入ったグラスに注ぎ足して飲むのが基本。
多くのお店では“ホッピーセット”として、ストレートの焼酎とセットで供されます。

焼酎+ホッピー1本=基本形
セットで出て来る焼酎と、ホッピー1本の半分の量くらいで、大体ジョッキや大きめのグラス1杯分くらいになります。
1杯飲み終えると、ホッピーが半分だけ残ってしまう状態というわけです。
そこで“ナカ”“ソト”という概念が出て来ます。
ナカ=追加の焼酎1回分、ソト=ホッピー1本。
つまり、ここでナカを追加することで、グラスもう1杯分の焼酎ホッピー割が楽しめる。

図解するとこう
例えばホッピーセットが400円で、追加のナカが200円だったとしましょう。
グラス2杯分のお酒が600円という計算になります。
対してそのお店のウーロンハイが350円だった場合、2杯で700円となり、単純に金額だけで計算すると100円得したことになりますよね?
さらには、“ソト1ナカ3”なんて言って、1回分の焼酎が異常〜に多く、ホッピー1本でジョッキ3杯分いけるお店なんかも珍しくありません。
ということは、もうおわかりですよね?
ホッピー1本で賄えるナカのおかわりの回数が多ければ多いほど、客は数十円単位で得をしていくということ。
みみっちすぎる!と思われるでしょうが、我々はそういう世界で生きているんです。
グラスの7分目くらいまで焼酎が注がれたナカがやって来た時の嬉しさ、この喜びを共有出来る人とは僕、きっと仲良くなれる気がします。
次に気になる味の方ですが、一言で言ってしまえば、“飲みづらさを取り去ったビール”って感じでしょうか。
まず苦味が少なく、ホップ由来のコクや甘味はきっちりと感じられます。
重厚というよりは軽やかで、ビールを何杯も飲み続けるのは辛くても、ホッピーなら大丈夫という方も少なくないでしょう。
それでいて“低カロリー”“低糖質”“ゼロプリン体”というのも嬉しい点で、通風持ちのお父さんなんかからしてみれば、救いの神のような存在と言えますね。

ホッピー製品一覧
一般的に居酒屋で見られるのが写真の左から2つ、“白ホッピー”と“黒ホッピー”。
普通のビールと黒ビールのような違いと考えて問題ないと思います。
その隣の2つは家庭向けに一般の酒屋さんなどで売られているもので、中身は一緒で量がちょっと少ないやつ。
そして一番右が“55ホッピー”。
これは発売55周年を記念して作られたプレミアムなホッピーで、麦芽使用率100%、海洋深層水を使用、醸造時間も通常の倍をかけてじっくり熟成。
なんと、2013年度モンドセレクションの“ビール、水ならびにソフトドリンク部門”にて銀賞を受賞したというすごいやつです。
ごく稀に、そのラベルから“赤ホッピー”なんていう名前でメニューに並べているお店もありますよね。
また、由緒正しき大衆酒場では、ホッピーを割る焼酎は“キンミヤ”と決まっているお店も多いようです。
関東生まれのホッピーに対し、キンミヤ焼酎を作る宮崎本店は三重県四日市市の会社というのも面白いですよね。
ネットなどでもすぐに見つかりますので、興味がある方はその由来、調べてみて下さい。
このキンミヤをシャリシャリのシャーベット状に凍らせた“シャリキン”なんて飲み方もありますが、これもまたオツなものですよ。
最後に、ホッピービバレッジ株式会社のオフィシャルサイトには、ホッピーの美味しい飲み方が載っています。
曰く、
(1)ホッピーと甲類焼酎(25度)をよく冷やし、ジョッキは冷凍庫で凍らせること。
(2)焼酎、ホッピーの順に、泡が立つように勢いよく注ぎ、かきまわさないこと。黄金比率は1:5。
(3)風味が損なわれるため、くれぐれも氷を入れないこと。
この方法は、ホッピー、焼酎、ジョッキを全て冷やしておくことから“三冷(さんれい)”と呼ばれ、これを正しく実践している大衆酒場もたくさん存在します。
そういったお店で飲むホッピーは、やはりたまらないものがありますね。
ただ一方で、氷が入っていたり、マドラーが刺さってたり、黄金比率が違ったりと、三冷に乗っ取っていないお店もたくさんあります。
ここで、僕のスタンスを明確にしておきますと、はっきり言って「なんでもいい」です。
氷が入ってようが、グラスに大量のナカが出て来て、焼酎にほんのり色が着く程度にしかホッピーが注げなかろうが、僕はうまいと思いますし、むしろ「うわ、ここ三冷じゃないんだ。ホッピーの本当の飲み方ってのはさ〜…」なんて語り出す人とは僕、ちょっと仲良くなれる自信がありません。
なんつったって、大衆酒場ですからね。
こだわりなんてものは、極力持たないに限ります。
…そんなわけで、さらっとホッピーについての基本情報を述べてから始めようと思ったら、思いの他長くなってしまいました。
すいません、ここからが本番です!
えー、以上のように僕が愛して止まないホッピーなんですが、さらに珍しい飲み方もあるんですよね。
それが、“生ホッピー”!
ビールに生があるんだから、ホッピーにだって生があってしかるべきじゃないですか?
そう、あるんです!
具体的にどういったものかというと、瓶からではなく、専用のサーバーから注がれるホッピーのこと。
取り扱いや管理に厳しい決まりがあるため、おいそれとお店で出せるものではないらしいのですが、それでも提供しているお店はもちろんあります。
今回はそんなお店の1つ、駒込の「でんじろう」さんにお邪魔しましょう。
駒込駅に隣接する商店街「アザレア通り」を歩いてすぐ。
立ち飲みの人気店「きんらん」さんを超えてもう少々歩き、左に曲がったところに、

あります。
比較的新しいお店で、店内もこの通り、

チリ1つない清潔感!
厨房に面したカウンターと、テーブルが5席くらい。
ゆったりと余裕があって素晴らしく居心地の良い店内です。
16時からとオープンが早めなのも嬉しいですね。
それではさっそく本日のメインを頼んじゃいましょう!
普段は「とりあえずビール」を譲らない派のあなたも、ここでばかりは頼んでみましょうよ。

樽生ホッピー(400円)
美しい…。
僕ね、これを初めて飲んだ時、ま〜そこまで期待はしてなかったんですよ。
だって、樽に詰めてあるからといって別の物というわけではなく、中身は同じホッピーなんですから。
「ま〜試してみるか」ってなもんで、どれどれ…なんて飲んでみたら、衝撃を受けちゃったんですね。
まじで!全く味が違う!
普段飲んでるホッピーとは全く別物!
まさかこんなに感動するとは思ってなかった!
口当たりはなめらか〜で、甘味と爽やかさがあって、フルーティーな風味さえして、こんなに壮快な飲み物はそうないぞ!って感じなんですよ。
配合がピタリなのと、樽から注がれるので泡がきめ細かくなるから、など、理由は存在するんでしょうが、そんな理論がどうでもよくなるうまさ!
ホッピー好きには是非試してもらいたいですね〜。
こちらでは樽生ホッピーの他に、デンキブランで割るイナズマホッピー(450円)や、金シャリ(いわゆるシャリキン)ホッピー(450円)、梅酒を使った梅ホッピー(450円)など、色々とこだわりのホッピーが楽しめるので、お好きな方にとってはまさにホッピー天国!
あ、もちろん普通の白/黒のセットもあって、これは400円。ナカ、ソトはそれぞれ250円です。
もうこの生ホッピーを飲めただけで満足なんですが、こちらのお店のこだわりはそれだけにとどまらず。
看板商品である、毎日市場から仕入れると言うモツにもめちゃくちゃ力を入れてるんですよね。
そんなモツをダイレクトに味わいたいならこれでしょう!

刺し盛 三品(小)(650円)
盛られて来たのはレバテキ、ハツテキ、コブクロ刺し。
それぞれ単品で頼むと350円ですが、適量ずつ味わえるお得な1皿です。
レバーとハツは周りが炙られて歯応えも楽しく、素材の持つ大変強い甘味と塩ダレがベストマッチ!
コブクロは酸味のある味付けで、もたれずあっさりと頂けます。
レアーな肉ってだけでたまらないのに、それを知りつくしたプロフェッショナルな調理がなされるんですから、ありがたい限りです。

串焼(各100円)
となれば焼き物がうまいのは当然のこと。
左から、チレ、ハツ、ナンコツ(確か)、レバー、あぶら。
各100円というリーズナブルさもさることながら、見た目でわかる絶妙すぎる焼き加減にうっとりです。
脂好きの僕としてはやっぱり記憶にとどめておきたいのは、あぶらのジューシーさですね。
いわゆる網あぶらというやつをぐるぐると整形して、ここは味付けが“塩”“たれ”“しょうゆ”の3種類あるんですが、タレでさらにこってりと焼き上げる!
成人男子だったら1本が限界な、禁断のメニューと言えるでしょう!
はい次。
たった今あぶらは1本が限界とか言ってたにも関わらず、どうしても頼まずにはいられなかった極めつけがこちら!

あぶたまにんにく(450円)
先ほどのあぶらと、にんにくをトロットロに煮込み、玉子を加えたヤバすぎる1品!
こってりが苦手な人には狂ってると思われても仕方ないチョイスですが、こんな完璧な3つの素材を組み合わせられたら、もう俗に言う不可避ってやつです。

にんにくはペースト状に
たまらん…。
ここでんじろうは、素材と調理方法にこだわった様々なメニューが本当に盛り沢山なので、今回紹介出来たのはほんの一部。
行く度に、今日は「何を食べようかな〜」と迷い、そしてきっと驚きに出会える名店だと思います。
もちろん力強いモツ料理たちを迎え撃つのは生ホッピー!
この組み合わせは確実にクセになりますよ〜。
…とか言いつつ、途中からバイスにも浮気したわけですが。

バイスセット(350円)
俺、コダマサワーも大好きなんだ!
より大きな地図で パリッコの「大衆酒場ベスト1000」 を表示
でんじろう - 駒込/居酒屋 [食べログ]
告知
2013年10月18日(金)
ラヴラヴ企画31「絶対安全剃刀」
下北沢 THREE
開催時間 / 18:00
開演時間 / 18:30
前売料金 / 1,500円(1ドリンク別)
当日料金 / 1,800円(1ドリンク別)
★高校生以下無料(年齢が確認できるものを持参ください。)
★遠方割引アリ(交通手段の領収書を持参ください。)
※ドリンク代別(500円)
出演 /
パリッコ(LBT)
鼓膜シュレッダー(LBT)
エイトロン+ビットロン(院長<The My Mints>)
DJ FujitaQuviokal(術ノ穴)
GAKUDAN_H1TOR1(楽団ひとり)from石巻
鉄雄(添田雄介 from MUDDY WORLD、俺はこんなもんじゃない)
やまのいゆずる
VJ / TSV(PUNSUCA)
Food / roll(とうめいロボ)
予約は各出演者または lun724(あっとまーく)hotmail.com まで
主催:ラヴラヴ企画
2013年10月26日(土)
CLUBLOVELY Vol.4
新宿 FNV
開催時間 / 24:00〜05:00
当日料金 / 2,000円
出演 /
Enjo-G
HONDALADY
LBT ← パリッコ出演
FQTQ
ミサイルチューバッカ
m1dy
KaoruChupa
オッチー
gatotsu
ポータサウンズ
前評判を目にしていたので、スマホではなく、自宅PCでと思って溜めてましたが。
ホッピー未経験者〜飲兵衛まで大いに参考になる内容ですね(^^
これからも先人たちを見習って飲み進めていこうと思います!
ありがとうございます。