大衆酒場ベスト1000

2014年01月16日

第98回「大新園(横浜)/やきわんたん」

ワンタンを軽視していませんか?

この連載で横浜を取り上げるのは2度目になります。
一度目は第40回、横浜らしからぬ渋い横丁の中にある「味珍」さんをご紹介しました。
今回はその逆で、横浜らしからなくない、もとい、とっても横浜らしいお店について書かせて頂こうと思います。

舞台は横浜中華街。

そう、横浜といえば港、そして中華街ですよね!

横浜中華街は、言わずと知れた日本屈指の観光スポット。
1859年(安政6年)に横浜港が開港したことに端を発し、歴史の流れの中で徐々に中国人中心の街へと変貌してゆき、1955年(昭和30年)には「牌楼門」が建てられ、現在のような観光地へと発展をとげた街だそうです。

生まれも育ちも練馬っ子の僕にとって、昔は横浜なんて、遠い異国の地のようなイメージでした。
ところが西武鉄道さんが長年かけて色々と頑張ってくれまして、西武池袋線、いまや様々な路線との相互乗り入れが実現しています。
有楽町線「新木場行き」や、副都心線「渋谷行き」が現れた時もめちゃくちゃワクワクしたもんですが、2013年、東急東横線との直通運転が開始し、地元大泉学園駅ホームの電光掲示板に「元町・中華街行き」と表示された時のインパクトはそれ以上でしたね〜。
今や毎朝出社する時、魅惑の「元町・中華街」という響きに思わず吸い寄せられそうになるところをグッと踏みとどまって池袋行きに乗り込まなくてはいけないという試練が増えてしまいました。

“代官山”“中目黒”“自由が丘”“田園調布”と、名だたるお洒落タウンを要する東横線沿線の方々は、この乗り入れを全然喜んでない、なんて噂も耳にしますが、まぁそう言わず、“練馬”“清瀬”“秋津”“小手指”なんかにどんどん遊びに来て下さいね!

とにかく横浜中華街、大変気軽に行けるようになりまして、地元からだとまさかの乗り換え無しで、1時間ちょっと。
これは嬉しい!

「中華街なんて観光地だ!本当にうまくて安い中華は他にある!」なんて通の方もいらっしゃるかもしれませんが、こちとら正真正銘観光客ですからね。
行くことを想像するだけでワクワクしてしまう楽しい街に気軽に行けるようになった!ってなもんで、とある休日、起きてふと思い立ち、妻を誘ってそのまま横浜まで行ってきました。


では本題に入っていきましょう。

以前この連載の第7回で、吉祥寺の「いせや総本店 公園店」を取り上げた際に宣言しましたね。
いわゆる“点心”と称されるものの中で、僕が最も好きなのは“シュウマイ”だ!と。

じゃあ2位は?
「さすがにギョーザだろう!」って?

……プーッ!!!

おっと失礼。
いや、ギョウザもいいんですよ。
実際大好きなんですよ。

だけど……“ワンタン”には敵わないでしょうが!!!

1位はシュウマイ!2位はワンタン!

ワンタンって“皮”を味わう点心ですよね。
あのプリンツルンとした独特の食感。
そこに各店独自の具とスープが絡み合いバリエーションを生み出すのも、楽しいこと極まりなしです。
あ〜ワンタン!ワンタンが好きだ〜!

すみません、これは個人的な好みの問題なので、怒りをお鎮め下さい、全国のギョウザ屋さん。
とにかく今回は、僕がシュウマイの次に愛して止まないワンタンが名物のお店をご紹介しようと思います。


ちなみに中華街でワンタンが名物のお店っていうと「慶華飯店」がありますね。




0116_01.jpg
えびワンタン(630円)



こういうやつです。

ずいぶん前に食べた時の写真ですが、基本的なビジュアルなどは今も変わってないと思います。
具沢山でプリンプリンのワンタンが、ご覧の通りたっぷり!
他店とは一線を画すコンクリート打ちっぱなしのモダンな店内も珍しく、ワンタン好きならばチェックして損はない名店かと思います。

ですが今回は、さらに変わったワンタンの登場ですよ〜。


舞台は「大新園」さん。

中華街のランドマークともいえる「横浜大世界」のすぐそばにあります。

ちなみに横浜大世界は、1階から8階までの各フロアに様々なエンターテイメント施設が詰まった複合ビルで、特にフードフロアでちょこちょこと気になったものを買い食いするのなんか、なかなか楽しいですよ。
上階がトリックアート・ミュージアムになってるのも、ベタさがあって愛らしいですね。
まぁ要するに、中華街で最も観光地的に賑わっている一画の1つ。

ですがそのすぐそばにある大新園は、あまりそういったカラーは打ち出しておらず、きらびやかな周囲のお店の中に沈み溶け込んでいるかのよう。




0116_02.jpg
大新園



無論、この落ち着きが逆に嬉しいと言いたいわけですが。

店内に入ってもその印象は変わらず、比較的大混雑も少ない、ちょっとした穴場的なお店というんでしょうか。

入店しまして、まずは




0116_03.jpg
瓶ビール 中瓶(600円)



を。
銘柄は「キリン一番搾り」「アサヒスーパードライ」から選べます。

ちなみにこの時は年末だったので、クリスマスツリーが控えめに飾られており、なかなか微笑ましいですね。

メニューは一般的な中華料理屋同様、数ページに渡って大量に揃っていますが、最大の特徴が“雲呑(わんたん)”の項。
そう、ワンタンだけのためにワンコーナー用意されているんですよ!

種類は4種類で、下記のようになっております。

つけわんたん
やきわんたん
揚げわんたん
ワンタン

我々の良く知るスープに入った“ワンタン”の他に“つけ”“やき”“揚げ”の3種類のワンタンが味わえるんです!
これはワンタン好きにはたまんね〜ぜ〜!

まずは気になった順に、“つけ”と“やき”をオーダー。
人気メニューということもあり、提供時間は早めです。




0116_04.jpg
つけわんたん(530円)



どうですこの官能的な美しさ!
ニラや挽き肉で作られた餡の表面に、皮でピタッとくるまれ、その姿があらわになった海老の存在が見てとれます。
まさにスープという海から打ち上げられ無防備になった、親ゆずりのマーメイドといった風情。
見た目からして、対峙するものを誘惑する力に満ちています。

これをゴマ油と刻みネギが加えられた醤油ダレに付け、口に運びましょう。

皮は箸で持ち上げても決して崩れない強度を保っており、それでいて固さは微塵も感じさせません。
シルクの様に滑らかな表面の作用によって、ほぼ抵抗ゼロで口の中へ滑り込むワンタン。
トロトロとプリプリを併せ持ったこの絶妙な食感は、そう簡単には出会えないレベルの高さですよ。

さらに噛み締めると、肉や野菜の旨味、それから海老のプリっとした食感と甘味。
これらがやがて皮とのハーモニーを奏で出し、ワンタンファンなら感涙必至の逸品です!

続いて




0116_05.jpg
やきわんたん(630円)



具やつけダレなどの構成物は同じなんですが、これが全く別の料理。

たっぷりの油を使って焼き上げられたこちら、焼き目部分はカリッカリで超〜香ばしい!
それでいて裏面は、つけわんたんでも味わえたフワトロの皮を残してあり、揚げワンタンとも全くの別物。
完全に未体験の食感ですこれ!

つけわんたんの上品さに比べるとちょっとジャンクな味わいも加わり、ビールとの相性は説明不要。
他店ではなかなかお目にかかれないという意味でも、個人的にはこのやきわんたんが特に気に入ったかなぁ。

これまたワンタンファンには、是非一度味わって欲しいと思いますね。
おんなじことばっか言ってますが。
ワンタンファン。




0116_06.jpg
古越龍山 陳年花彫酒(紹興酒)ボトル200ml(700円)



をロックで頂きまして、ちょっとワンタン以外のものも注文してみましょう。




0116_07.jpg
海蠣春巻(かきのはるまき)(650円)



春巻ってのもまたうまいっすよね〜。
しかも中には、丸ごとの牡蠣がゴロゴロ!




0116_08.jpg
ほらぁ!



なんか汚らしい写真ですみません。
春巻って箸で割るのがすげー難しいということを学習しました。

カレー味が効かせてありまして、カリッと揚がった皮をパリパリと歯で崩していきますと、ジュワッと牡蠣やその他具材の旨味が詰まった熱々の餡に行き着きます。
めちゃ熱なのでハフハフ言いながら恐る恐る噛み締めていく必要がありますが、その一口の中に牡蠣が丸々1個入ってたりするわけで、そんなの幸せに決まってる!




0116_09.jpg
エビとりそば(900円)



これ、ボリュームもありそうだし、麺類だけでとんでもなく種類あるし、めちゃくちゃ悩んだんですよね〜。
しかし頼んで正解でした。

キャベツと白菜とちんげん菜、3種類の野菜の甘味が出た優しい〜塩味ベースのスープに、海老と鶏の旨味がたっぷりと…。
トロミもあって、中太のちぢれ麺に良く絡みますね。
食べるごとに身体全体に滋味が行き渡り、幸福感と満腹感で満たされていくのが実感されます…。


…で、案の定、もうこれ以上何も食べられなくなってしまいました。
今日はここでごちそうさまです!

ってなわけで、オーソドックスなワンタンと、揚げわんたんのお楽しみは次回に持ち越し。
それも次に行く時の楽しみになっていっか!

ちなみに、中華圏における旧正月である“春節”は、今年は1月31日。
この前後の時期は横浜中華街でも様々な催しが企画され、それはもう大変な賑わいとなりますので、お祭り騒ぎに参加しに行ってみるのも楽しいと思います〜!





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大新園 (タイシンエン) - 元町・中華街/中華料理 [食べログ]




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posted by パリッコ at 11:00 | Comment(0) | 第76回〜第100回
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